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在日米軍基地に関する質問主意書: 岩 間 正 男

在日米軍基地に関する質問主意書: 岩 間 正 男

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  昭和四十三年十二月十三日
岩 間 正 男
       参議院議長 重 宗 雄 三 殿

   在日米軍基地に関する質問主意書

 日米安全保障条約にもとづいて日本国内に設置されている米軍基地は、日本の独立を侵害し、日本国民の生命と財産、および生活の安全をおびやかしている。今日、在日米軍基地をめぐる事故の続発によって、基地に対する国民の怒りと不安は、かつてなくたかまつている。しかるに政府は、在日米軍基地をはじめ日本国土を米軍が使用している実態について、そのすべてを国民の前に明らかにしていない。よって、この問題を明らかにするための一環として、以下の諸点を質問する。

一、在日米軍基地の公表について

 在日米軍基地は国民の生活と権利に密接かつ重大な関係があり、政府は当然、日本国民に対して在日米軍基地のすべてを公表し、これを周知させる義務を負っている。政府は現在、日本が日米安保条約にもとづいてアメリカ政府に提供している「施設及び区域」が百四十八カ所であると公表している(昭和四十三年十月九日付官報資料版など)。

 しかし、さきに政府が国会に提出した「合同委員会合意書に関連し実施されている主要事項」のうち「刑事裁判管轄権に関する事項」によれば、「区域又は施設の一覧表及び法律上の記述はできるかぎり日本国の官報及び合衆国軍隊の公刊物に公表する」(第五施設又は区域の標示等に関する事項)とされている。すなわち、基地の公表は「できるかぎり」行なうのであって、すべてではないことを示している。

 また、昭和二十八年十二月十二日付最高裁判所刑事局長通達(刑一第一七三六〇号)では、合同委員会で承認された「裁判権分科委員会刑事部会における行政協定に関する事項」を添付しているが、そのなかでは「区域又は施設の一覧表及び法律上の記述は日本国の官報及び合衆国軍隊の公刊物に公表する。但し、その軍事的性質により、特定の施設又は区域は公表する一覧表の中に含めない」(8施設又は区域の標示)としている。ここでも「軍事的性質」によっては、在日米軍基地のすべてを公表しなくてもよいことになっている。

 以上の点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。
1 現在、日本政府が米軍に提供している「施設及び区域」のなかに、「軍事的性質」によって、国民に公表していないものがあると思うがどうか。また、そのような「施設及び区域」が何カ所あるか。
<答弁書>1について
 現在、米軍に提供している「施設及び区域」については、すべて公表している。

<質問>
2 公表しない「施設及び区域」の「軍事的性質」とは何か。いかなる基準にもとづいて決定されるか。
<答弁書>2について
 公表しない「施設及び区域」はなく、したがってその基準もない。

<質問>
3 政府が国会に提出した「合同委員会合意書に関連し実施されている主要事項」と、最高裁判所刑事局長通達に添付された「裁判権分科委員会刑事部会における行政協定に関する事項」との間には、この部分について文言に相違があるが、いずれが合同委員会で正式に合意されたものであるか。
<答弁書>3について
 政府が昭和三十五年三月二十五日国会に提出した「合同委員会合意書に関連し実施されている主要事項」は、文字どおり合同委員会における合意に関連し実施されているもののうち主要な事項であって必ずしも合同委員会における合意そのものではない。
 この「主要事項」中「刑事裁判管轄権に関する事項」のうち第五「施設又は区域の標示等に関する事項」(一)後段は、「区域又は施設の一覧表及び法律上の記述は、できるかぎり日本国の官報及び合衆国軍隊の公刊物に公表する」旨記述しているが「できるかぎり」という文言が米軍の使用する「施設及び区域」の軍事的性格により、一部公表しないこともあり得ることを予想していることは、事実であるが、しかし、問1に対する回答でも明らかなように、かかる「施設及び区域」は、一切存在しない。

二、「個々の施設及び区域に関する協定」について

 日米安保条約第六条にもとづく地位協定第二条1項(a)では、アメリカが使用する「施設及び区域」について、日米両国政府が合同委員会を通じて「個々の施設及び区域に関する協定」を締結しなければならないとされている。また、昭和二十七年六月二十七日次官会議了解では、「協定の締結があつた場合には、之が実施のため日本側と合衆国側との間に使用のための実施取極めを締結する」ことを定めている。
 以上の点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。
<質問>
1 現在、日本政府が米軍に使用を許している「施設及び区域」のすべてについて、「個々の施設及び区域に関する協定」および「実施取極め」を締結しているか。
<答弁書>1について
 締結している。

<質問>
2 旧安保条約にもとづく行政協定にともなってとりかわされた岡崎外相とラスク特別代表との間の交換公文では、「講和」条約発効後九十日以内に日米両国政府間で合意しなかつた場合には、アメリカが占領中に使用していた「施設及び区域」の使用を継続して許すこととした。
(1) このような日本政府の同意なくして米軍が使用することになった「施設及び区域」は何カ所あつたか。また、このような「施設及び区域」は地位協定発効時には何カ所あつたか。
(2) これらの「施設及び区域」は、地位協定発効と同時に、同協定第二条1項(b)(「行政協定の終了の時に使用している施設及び区域は、両政府が(a)の規定に従って合意した施設及び区域とみなす」)によって、自動的に日本政府が米軍の使用に同意したとみなされたのか、あるいは、これらの「施設及び区域」について、その後日米両国政府間で合意し、「個々の施設及び区域に関する協定」および「実施取極め」が締結されたのか、その経過を明らかにされたい。
<答弁書>2(1)及び(2)について
 行政協定発効後九十日以内に日米両国政府間で合意に達しないまま、米軍が使用することとなったものは五十箇所であつた。
 これらの施設のうち行政協定期間中に使用解除となったものが十五箇所あり、提供の合意をみた三十五箇所についても行政協定期間中に十六箇所が返還されている。したがつて十九箇所が他の施設とともに地位協定第二条一項(b)の規定により新協定における「施設及び区域」とみなされたものであり、これら「施設及び区域」もそれぞれ「実施取極め」が締結されている。

<質問>
3 この「個々の施設及び区域に関する協定」および「実施取極め」には、それぞれ、いかなる内容(項目)を記載することになっているか。
<答弁書>3について
 「個々の施設及び区域に関する協定」では、施設番号、施設名、所在地、参照されるべき合同委員会合意覚書番号を、また、「実施取極め」では、施設番号、所在地、財産の明細、使用期間、引渡期日、引渡期間、受領機関等を明らかにしている。

<質問>
4 「個々の施設及び区域に関する協定」および「実施取極め」は、特に基地周辺の住民に大きな影響をあたえる内容を含んでいると考えられる。日本政府は、この「個々の施設及び区域に関する協定」および「実施取極め」の全文を公表すべきだと思うがどうか。
<答弁書>4について
 「個々の施設及び区域に関する協定」及び「実施取極め」は、合同委員会関係文書であり、合同委員会関係文書は原則として非公表扱いとすることが日米間で合意されているので、その全文を公表することはできない。

<質問>
5 「施設及び区域」の米軍の使用権は、地位協定によっても無制限ではありえず、「個々の施設及び区域に関する協定」によって、その使用目的の制約を受けるのは当然である。この点に関して、昭和三十五年に当時の山内一夫法制局第一部長は「合衆国軍隊は、当該合意の改変を日本国政府に求めるべきであり、それを求めることをしないで、勝手に使用目的を変更してはならないものと解される(合衆国軍隊に使用目的の任意の変更を許すとすれば、地位協定二条三項の趣旨が没却されることとなろう。)。」(「時の法令」三六一号)との見解を明らかにしている。

 しかるに「キャンプ王子」の場合、当初の「一般陸上施設として営繕等の管理部隊および地図局測地部隊の使用」であつたものが、野戦病院へと公然たる使用目的の変更が行なわれたにもかかわらず、「個々の施設及び区域に関する協定」の変更がなされていない。この理由は何か。日本政府は、いつたん米軍に提供した「施設及び区域」は、その後、米軍が使用目的をいかに変更しようとも自由、無制限であると考えているのか。

6 「個々の施設及び区域に関する協定」に、使用目的が明記されるのは当然であると考えるが、現在、この協定に使用目的を明記していない「施設及び区域」は何カ所あるか。また、使用目的を明記している「施設及び区域」名を明らかにされたい。
<答弁書>5及び6について
 「施設及び区域」は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条の目的に即して米軍の使用に供されているものであって、通常、その使用目的を細かくきめていないが、演習場、射爆撃場のように周辺住民の安全に影響の強い「施設及び区域」については、米側と協議のうえその使用条件を明細にしている。
 キャンプ王子については、一般陸上施設として米軍に提供しているので、米軍が病院として利用したことは、その使用目的に反するものとは考えない。
 なお、「施設及び区域」はその主たる用途に即した名称で表示されることが適当であるので、現在提供中の「施設及び区域」のうちその名称が不適当なものについて検討中である。

<質問>
三、米軍の海域使用について

 日本政府は、米軍に対し、海上においてもその使用を許している。
 この点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。

1 日本政府が米軍に提供した「施設及び区域」を構成する公有水面、たとえば「横須賀海軍施設水域」などの水域は、当然、地位協定第二条1項(a)にいう「施設及び区域」とみなすべきであると考えるがどうか。この公有水面の面積は、日本政府が提供した「施設及び区域」の面積を発表する際に、当然、合わせて公表されなければならないと思うがどうか。
<答弁書>1について
 地位協定第二条一項(a)にいう「施設及び区域」には日本政府が提供した公有水面を含む。
 提供水域の範囲については、地上の標点からの距離、又は緯度、経度等によって、その範囲を明示して公表する方法をとつている。

<質問>
2 現在、日本政府が米軍に提供している公有水面、およびその面積を明らかにされたい。
<答弁書>2について
 別添資料一のとおりである。
別添資料一 提供施設関係水域の面積(昭四四、一、八現在)

<質問>
3 日本近海における米軍の海上演習場は、漁船の操業等に多くの制限を加えている。日米両国政府が合意した海上演習場の位置とその面積を明らかにされたい。

4 米軍の海上演習場のうち、日本の領海内にあたる部分は何カ所あるか。その位置と面積を明らかにされたい。
<答弁書>3及び4について
 別添資料二のとおりである。
別添資料二 米軍海上演習場の位置及び面積等(昭四四、一、八現在) 1~7

<質問>
5 米軍の海上演習場のうち、日本の領海にあたる部分は、当然、日本政府が提供した「施設及び区域」とみなすべきであると考えるがどうか。
<答弁書>5について
 海上演習場のうちわが国の領海にあたる部分は、日本政府が提供した「施設及び区域」である。

<質問>
四、米軍の空域使用について

 地位協定第六条1項では、「すべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発達を図るものとし、かつ、集団安全保障の利益を達成するため必要な程度に整合するものとする」として、その細目は、「両政府の当局間の取極」にゆだねている。この「取極」のうち、とりわけ、昭和三十四年六月四日、合同委員会において承認された「航空交通管制に関する合意第三付属書」に規定された内容は、日本の領空権との関係で重大な内容を含んでいるにもかかわらず、その一部が国会に報告されただけである。
 この点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。
1 政府は、前記の「合意第三付属書」の全文を公表すべきだと思うがどうか。
<答弁書>1について
 問二の4と同様の理由により、日本側の一存で全文を公表することはできない。

<質問>
2 この「合意第三付属書」には、「防空責任担当機関と協議のうえ、防空識別圏(ADIZ)及び制限空域を設定すること」「防空責任担当機関と協議のうえ、防空業務に従事する航空機のじん速な離陸及び基地帰投に必要とみなされる圏若しくは区を空域に設定すること」および「在日合衆国軍の要求にもとづき、民間、軍を問わず、すべての航空機関に優先する空域制限(高度制限)を航空交通管制本部をして提供せしめること」などが規定されている。
(1) ここにいう「防空責任担当機関」とはどこをさすか。
<答弁書>2(1)について
 米国政府については在日米軍司令官(第五空軍司令官)、日本政府にあっては防衛庁長官を指す。

<質問>
(2) 「防空識別圏(ADIZ)」「制限空域」「基地の離陸及び基地帰投に必要とみなされる圏若しくは区」「空域制限(高度制限)」について、その位置、範囲を明らかにされたい。
<答弁書>(2)について
 「防空識別圏」は、現在ない。
 ご質問の趣旨のような「制限空域」及び「基地の離陸及び基地帰投に必要とみなされる圏若しくは区」はない。
 「空域制限」については、米軍機の飛行のために特定の飛行空域を予定し一定時間その経路及び高度を他の航空機が飛行しないように隔離する管制上の措置をとつている。米軍からこの要求があつた場合には、一般の航空交通に混乱を生ぜしめないよう経路を調整し或いは時間及び高度を最少限にしぼつて許可を与えている。
 したがつてこのような制限は通常経常的なものではなく、時間の経過とともに消滅するものである。

<質問>
3 「米軍進入管制空域」とされている一定の空域においては、日本の領空権が事実上、米軍ににぎられている。この空域は、地位協定第二条1項(a)にいう日本政府が提供した「施設及び区域」とみなすべきであると考えるがどうか。
4 「米軍進入管制空域」はどこにあるか、その位置および範囲を明らかにされたい。また、それらの空域を米軍の管制にゆだねた理由、およびその根拠(協定、取極めなど)は何か。
<答弁書> 3及び4について
 米軍は米軍に提供された飛行場の周辺において進入管制業務を行なつているが、この空域は日本政府が提供した「施設及び区域」ではなく地位協定第六条十項に基づく「航空交通管制に関する合意」によって米軍が進入管制業務を事実行為として行なうことを日米間で認めている区域にすぎない。したがつてこのような空域についても必要があるときには、いつでもわが国は進入管制業務を行ないうるものである。

<質問>
五、在日米軍基地の「近傍」について

 地位協定第三条1項では、日米両国政府が「施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において」「必要な措置」をとれることが定められている。すなわち、これは在日米軍基地の「隣接」「近傍」の範囲においても、日本国民の主権が侵害されることであり、基地周辺の住民にとつてはきわめて重要な問題である。
 この点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。
<質問>
1 「路線権」(地位協定第二十四条2項)の定義を明らかにされたい。
<答弁書>1について
 「路線権(Right of Way)」は、他人の土地を通過し若しくは通行することを内容とする地役権の一種であると解される。

<質問>
2 地位協定第三条1項にもとづき「施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍」において、日本政府がとつている「必要な措置」とはどのようなものがあるか。その内容、適用される範囲を具体的に明らかにされたい。
<答弁書>2について
 「必要な措置」は、米側の要請に基づき「関係法令の範囲内で」とられるものであるが、具体的には、「施設及び区域」への出入のための地役権がある。

<質問>
3 地位協定第三条1項では、アメリカもまた「合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で」「必要な措置を執ることができる」とされているが、現在アメリカがとつている「施設及び区域」の「隣接」「近傍」での「必要な措置」を具体的に明らかにされたい。
<答弁書>3について
 「必要な措置」としては、例えば地位協定第六条一項に基づく「航空交通管制に関する合意」によって米軍が行なつている進入管制業務がある。

<質問>
4 前国会で問題になった、アメリカから要求されている「航空障害制限地域」および弾薬庫周辺の「保安地帯」設定について、その後どうなっているか。日本政府はどうするつもりか。
<答弁書>4について
 米側から要求されている航空障害制限地域及び弾薬庫周辺保安区域設定については、引続き慎重に検討中である。

<質問>
5 さきにアメリカから要求されていた全国十二カ所におよぶ「電波障害制限区域」設定について、その後、政府はいかなる方策をとつているか。
<答弁書>5について
 米側から要求されている電波障害緩衝地帯設置要求については、電波障害に関する特別分科委員会を設け引続き慎重に検討中である。

<質問>
六、米軍の民間空港等の使用について

 地位協定第五条1項は、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機」について、それが「合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるもの」であれば「入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる」とし、米軍機や米軍チャーター機などが、民間の空港等をも使用することを認めている。このことは、日本政府が在日米軍基地以外にも、多くの場所を米軍の使用のために提供していることを示すものであり、日本の国土がいかに広く、米軍の軍事行動のために使用されているかを示すものである。
 この点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。
<質問>
1 この規定によって米軍が使用できる港、飛行場について制限があるか。あるとすればその制限とはどのようなものか。
<答弁書>1について
 地位協定上、米国の船舶及び航空機は日本国の港又は飛行場に出入することができるとされているがその解釈上合意議事録において日本国の港とは、通常「開港」をいうが、不開港への出入を禁じた趣旨ではない。

<質問>
2 地位協定発効後、これまでにこの規定にもとづいて、船舶、航空機が「入港料」「着陸料」を課されずに出入した港、飛行場名を明らかにされたい。
<答弁書>2について
(イ) 紋別、釧路、十勝、苫小牧、室蘭、函館、乙部、小樽、留萌、稚内、青森、大湊、八戸、久慈、大船渡、秋田船川、館山、千葉、船橋市川、波浮、京浜、新潟、両津、伏木富山、七尾、敦賀、三国、熱海、伊東、下田、沼津、清水、蒲郡、名古屋、四日市、宮津、舞鶴、阪南、大阪、神戸、和歌山下津、境、浜田、岡山、宇野、水島、呉、江田島、広島、徳山下松、宇部、萩、関門、徳島、小松島、坂出、高松、宇和島、八幡浜、松山、今治、高知、博多、唐津、長崎、水俣、三角、別府、大分、佐伯、細島、油津、鹿児島、名瀬の七十四港。
 (ロ) 稚内、帯広、函館、秋田、花巻、山形、新潟、東京国際、大島、三宅島、名古屋、大阪国際、広島、宇部、高松、松山、高知、大分、大村、福江、宮崎、鹿児島、屋久島、奄美の二十四空港。

<質問>
3 地位協定第五条1項にいう「公の目的」とは、いかなるものをさすか。その定義を明らかにされたい。また、「船舶又は航空機」が「公の目的」で運航されるかどうかをだれがどこで判定するのか。
<答弁書>3について
 地位協定第五条にいう「公の目的」とは、アメリカ合衆国政府の目的をいい、その認定は、協定の両当事国が行なう。

<質問>
4 地位協定第五条3項では、これらの船舶が日本の港に入る場合に「通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない」とされているが、この「日本国の当局」とはどこか。「適当な通告」とはどのような内容か。また「通常の状態」でない状態とはどういう場合か。さらに航空機については通告義務を除外した理由は何か。
<答弁書>4について
 「日本国の当局」とは港湾管理者又は港長であり、「適当な通告」の内容は、船舶の名称、トン数、長さ、吃水及び出入港の日時である。
 「通常の状態」でない状態とは、合衆国軍隊の安全のため又は類似の理由のため必要とされる例外的な場合に限られる。
 航空機の場合は、船舶とはその運行形態を異にするので、同様の通告義務は課さず、外国から飛来する一般の航空機と同じく飛行計画を事前に航空管制機関(運輸省)に通報させることにより措置している。

<質問>
七、米軍、自衛隊による基地の「共同使用」について

 地位協定第二条4項(a)は米軍が「施設及び区域を一時的に使用していないとき」に、日本政府または国民が「臨時」にその「施設及び区域」を使用できるとしており、また同第三条1項では「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」とし、これらの規定にもとづいて、現在、在日米軍基地を自衛隊が「共同使用」している。さらに同第二条4項(b)では、米軍が「一定の期間を限って使用すべき施設及び区域」について定めているが、この規定にもとづいて、自衛隊基地を米軍が使用している。
 この点に関連して、つぎの諸点を明らかにされたい。

1(1) 地位協定第二条4項(a)にもとづき現在、日本政府または国民が使用している「施設及び区域」名、その面積および使用内容、「臨時」に使用している日本の使用者、さらに日本政府または国民が「臨時」に使用しはじめた年月日について明らかにされたい。
<答弁書>1(1)について
 別添資料三のとおりである。
別添資料三 地位協定第二条四項(a)関係共同使用施設の面積及び使用内容等(昭四四、一、八現在) 1~8

<質問>
(2) 同規定にもとづいて日本政府または国民が使用している際、「施設及び区域」のその部分における管理権はだれがもつか。
<答弁書>(2)について
 地位協定第二条四項(a)の規定に基づき日本政府又は国民が「施設及び区域」を使用する場合にも、米側は、「施設及び区域」の当該部分に対し、地位協定第三条に定めるいわゆる管理権を行使しうると解される。ただし、かかる共同使用に関する日米間の取極に従い日本側が必要な措置をとる場合には、米側の管理権の行使は、その限度で実際上排除される。

<質問>
(3)日本政府または国民の「臨時」使用が長期にわたった場合、それは、米軍に必要がなくなったものとして地位協定第二条3項によって当然日本に返還されなければならないが、地位協定第二条4項(a)にいう「一時的」とは、どの程度の期間をさすか。
<答弁書>(3)について
 地位協定第二条四項(a)に基づく共同使用が長期にわたった場合であっても、必ずしも米軍が当該部分を将来とも必要としなくなったものと断定はできない。
 また、地位協定第二条四項(a)にいう「一時的」とは、実状に応じて考慮されるべきものであって具体的にどの程度の期間を指すかは、あらかじめ一概にはいえない。

<質問>
2(1) 地位協定第三条1項にもとづいて自衛隊が使用している「施設及び区域」名、その面積及び自衛隊の部隊名を明らかにされたい。
<答弁書>2(1)について
 別添資料四のとおりである。
別添資料四 地位協定第三条一項による使用施設の面積等(昭四四、一、八現在) 1~2

<質問>
(2) 日本政府は、米軍に提供した「施設及び区域」を地位協定第三条1項を理由として自衛隊に使用させることができると説明している。しかし、同条項には、米軍が自衛隊に「施設及び区域」を使用させてよいという規定はなく、さらに、提供した「施設及び区域」を自衛隊が使用する場合については地位協定第二条4項(a)において「合同委員会を通じて両政府間に合意された場合」でなければならないとされている。したがって、地位協定第三条1項にもとづいて「施設及び区域」を自衛隊に使用させることはできないと思うがどうか。
<答弁書>(2)について
 自衛隊が「施設及び区域」を使用するのは、地位協定第二条四項(a)による場合に限定されてはいない。地位協定第三条一項によっても使用することができる。

<質問>
3(1) 地位協定第二条4項(b)にもとづいて現在、米軍の使用が許されている「施設及び区域」名、所在地、面積、および米軍が使用していない時には、だれが使用しているかを明らかにされたい。

<質問>
(2) 同条文には「当該施設及び区域に関する協定中に適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない」とあるが、この「施設及び、区域」のひとつひとつについて、適用される地位協定の規定の範囲を明らかにされたい。
<答弁書>(2)について
 地位協定の適用条項については、現存の当該「施設及び区域」に関する合意において、米軍の使用中は地位協定のすべての必要な条項を適用する旨規定されている。

<質問>
(3) 同条文中の「一定の期間」とは、どの程度の期間をさすか。また、この期間は「個々の施設及び区域に関する協定」に明記されるべきだと考えるが、この協定に明記されているか。
<答弁書>(3)について
 地位協定第二条四項(b)中の「一定の期間」とは個々にきめられる期間を指すのであって、具体的には、「個々の施設及び区域に関する協定」において、米軍の使用期間は年間何回何週間等明記されている。

<質問>
(4) 政府は、東富士演習場が日本に「返還」されたと宣伝しているが、実際には、自衛隊への「使用転換」であり、米軍もひきつづき使用できることになっていて、真の返還ではない。東富士演習場が自衛隊に移管され、米軍の使用をも認めた理由はなにか。
<答弁書>(4)について
 東富士演習場については、最近の使用実態に徴すれば、自衛隊の使用が増大し、米軍の使用頻度は極めて少ない。このような実態にかんがみ、演習場の管理は自衛隊とし、米軍も今後使用する計画があるので、これを地位協定第二条四項(b)により使用せしめることとして、地元の同意を得たうえ、今回、使用転換の措置をとつたものである。

<質問>
(5) 北富士演習場について「この返還は自衛隊への使用転換が条件である」といわれているが、なぜ地元農民に返還せず、自衛隊に「使用転換」しなければならないのか。その法的根拠を明らかにされたい。
<答弁書>(5)について
 北富士演習場についても、自衛隊の演習場として必要であり、引続き米軍も使用の計画があるので、使用転換の措置を講じたいと考えている。
 なお、この使用転換については、地元関係者の同意を得て円滑に措置したいと考え、目下鋭意折衝中である。

別添資料五 地位協定第二条四項(b)関係共同使用施設の面積等(昭和四四、一、八現在) 1~2
<国会議事録より>


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  1. 2008/02/21(木) 21:30:48|
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151-衆-国土交通委員会-細川委員  平成13年02月23日

151-衆-国土交通委員会-細川委員  平成13年02月23日

○細川委員
 次に、空域の問題についてお伺いをしておきたいと思いますが、管制と密接に関係があるのがまさに空域の問題でございます。
 この空域の問題につきましては、かねてから横田基地の空域の返還を求めております石原都知事も、この事故の背後には民間航空機の空域が狭過ぎるということを指摘しているところでございます。米軍の管制下にあります横田空域というものは、断面積で比較をいたしますと、成田の進入管制空域と比較をしますと二倍強でございます。日米安保条約があったとしても、私は、こういう実態は、日本は正常な主権国家と言えないのではないかというふうにも思います。
 また、空域に関しては、民間空域と自衛隊の訓練空域というものが分離をされておりますけれども、自衛隊の基地と訓練空域の間には回廊というものがございまして、航空路が設定をされております。そのことが民間航空路を制約いたしているところでございます。民間航空機というのはもう本当に数がふえてきておるわけでありまして、しかし空域の方は全く拡大をしていない、こういうことでございます。
 そこで、これは大臣にお聞きしたかったのですけれども、米軍との空域の設定について、現状を改めるようなことを交渉できないものかどうか。あるいはまた、自衛隊の訓練空域を含めて、民間の飛行ルートを拡大するような、最優先するような空域を設定できないのか。こういうことについて国土交通省はどういうふうに考えているのか、これは大臣に聞きたかったのですけれども、いませんから、では副大臣にお願いします。

○泉副大臣 細川委員御指摘のように、民間の航空需要が大変多くなっております。その中で、日本の空でいかに安全を確保していくかというのは、御指摘のとおり、我々が最も配慮していかなければならないことだと思っております。
 先ほど航空局長から一部御説明をいたしましたけれども、今回の事故に絡んで、航空路あるいは空域の再編等にまで踏み込んで議論をし、安全の確保をしたいということを考えておるところでございます。
 まず、複線化あるいは一方通行あるいは最適経路の設定、こうした空域、航路の再編をやっていこう。それで、どこまでやれるかというようなことも議論をしていこう。その際、必要があれば米軍あるいは自衛隊等との協議をさらに進めていくという考え方で取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

○細川委員 それはぜひやっていただきたい。必要があればじゃなくて、私は必要だというふうに思いますから、ぜひやっていただきたいというふうに思います。
 そこで、次にお聞きをいたしますのは、今回の事故でも、機長に対するいわゆる尋問といいますか、羽田に帰ってきました、負傷者が出た、この飛行機について、機長に尋問をするということについていろいろトラブルがあって、なかなか早く事情を聞けないというようなことがあったようでございます。
 航空機の事故が起こった場合、事故調査委員会の方での調査と、それから機長に過失があったのではないかという刑事責任を問うための捜査、この二つがあるわけなのですけれども、いわゆる事故調査委員会の方での調査と、それからいわゆる捜査とが競合をする場合に、一体どちらが優先をするかという問題がございます。
 こういう事故が起こった場合には、とにかく原因の究明、そして再発防止を最優先にしなければいけないのではないか。とりわけ航空機の事故などというのは故意犯なんかはないわけですから、過失犯ですから、そんなに急いで捜査をする必要はなかろうというふうに私は思うのです。
 それにつきまして、捜査といわゆる事故調査の関係を取り決めております覚書というのがございます。第六十八回の通常国会のころに、警察庁長官後藤田正晴さん、そして運輸事務次官の町田直さん、この連名で覚書というのができております。これを見ますと、どうも捜査の方が優先をして、事故調査の方は遠慮するというような覚書にとれます。
 そういうことで、私は事故調査を最優先にしなければいけないというふうに思いますが、事故調査の障害にもなりかねないようなこの覚書について、国土交通省は今どのように考えておられるのか。
 それから、今国会に法案が提案をされまして、鉄道の事故調査も常置の機関になるわけでありますけれども、これについても同じような覚書を交わすつもりなのかどうなのか、その点についてお聞きをしたいと思います。

○泉副大臣 今回の日本航空九〇七便の飛行機が羽田に着陸しましたときに、警察の方が機内に最初に入ったということから、今先生御指摘のような、捜査が先に行って、事故原因調査が後から行くというようなことになっておるのではないかという御心配だと思います。
 このことにつきましては、当然のことながら、事故調査と犯罪捜査、それぞれ異なる目的で進めさせていただく、異なる法律のもとで進めさせていただくということでございまして、一方が他方に優先するということではない、またあってはならないというふうに理解をしております。
 御指摘の覚書の内容も、そうした観点に立ってお互いに交わさせていただいたものでございまして、両者が競合する、犯罪捜査と事故原因調査が競合する場合でありましても、委員会と捜査機関との間で協力、調整をやっていく、そういう趣旨からあの覚書が締結されたわけでございます。
 プロの先生から見られると、覚書がどうも捜査優先という記述になっておるのではないかという御指摘かと思いますが、これまでの事故調査においては、そうした心配はなく、お互いに協力して事実を究明してきた、原因を究明してきた、こういうことでございまして、今後ともこの覚書を尊重していきたいと考えております。
 なお、今回法律を提出させていただいております鉄道事故に関してもこうした覚書が結ばれるのかという御指摘がございましたけれども、このことについては、今こうしたものが必要であるというふうには思っておりませんが、なお今後もう一度国土交通省といたしまして検討して、必要があれば覚書を結ばせていただくというようなことを考えたいと思います。

○細川委員 検討して覚書を結ばせていただくというようなことでありますけれども、今私が申し上げましたこれまでのような覚書ならば、私は、つくらない方がいいんじゃないか、やらない方がいいんじゃないかというふうに思っておりますから、念のためにつけ加えておきたいと思います。
 これまでの経験からいたしましても、例えば、あれはどこでしたか、山梨で起こった鉄道の事故に関して私は鮮明に記憶しておりますけれども、列車事故が起こって、運転手の方が最初に警察の方に連れていかれて、運輸省の方が調べようにも全く接触もできない、ずっと警察に身柄をとられているという状況が続くわけですね。
 私は、確かに運転手の責任、それがどうあるべきかということで捜査も必要と思いますけれども、しかし、どういう原因で事故が起こったのか、事故調査あるいは再発防止、これが大変大事だ。やはり、まずはこれを優先して、早く解明して、二度とそういうことが起こらないようにするのが大事だ。大体、過失犯ですからそんなに捜査を急ぐことはないわけでありますから、私は、まずは徹底的な原因究明を優先すべきだというふうに考えているところでございます。
 そこで、続いてお聞きをいたしますけれども、今度、航空機の事故の調査体制というか、それについてお伺いしたいと思います。
 航空機事故の調査につきまして規定しております国際民間航空条約十三附属書には、航空調査当局は、航空機の事故調査に当たっては、独立性を保ち、かつ無制限の権限を有しなければならないというふうに規定をされておりまして、これは本当に強い権限が与えられているところでございます。ところが、日本の航空機事故調査委員会の方は、監督官庁の国土交通省の一機関として設置をされておりまして、この国際民間航空条約の求める独立性を満たしているというふうには言えないと思います。
 一方、アメリカの国家運輸安全委員会、今、例の練習船と原潜の衝突事故でマスコミでもいろいろと登場いたします国家運輸安全委員会、これは監督官庁から完全に独立をしておりまして、大変強力な権限が与えられております。今回の事件でも、いち早くこの原因究明に乗り出しまして、米国の海軍に対しても強力な権限を持って臨んでいるということが言えるわけでございます。
 そこで、航空事故と鉄道事故をあわせた調査委員会の設置法案が、この改正案が今国会に提案をされるというふうに伺っておりますけれども、この際、設置というものを、独立性の強い、内閣直結の強い独立性を持たせるような、そういう委員会にすべきだというふうにも考えられますけれども、この点についてどういうふうにお考えですか。

○泉副大臣 今のお尋ねにお答えいたします前に、先ほどの鉄道との関係で一つだけ追加させていただきます。
 もう一年になります日比谷線の地下鉄の事故に際しまして、原因究明を、これは委員会ではございませんが、それに準ずるような形で国土交通省としてやらせていただきましたが、その際は、警察の方ともお互いに協力して支障なく原因究明をさせていただいておるということでございますので、今後とも今の体制で、覚書の趣旨を十分生かして、事故原因あるいは警察としての調査をやっていくことができるのではないかというふうに思っております。
 また、今お尋ねがございました、今国会で御審議をいただきます、新しい、鉄道も含めました事故調査委員会ということにつきましては、今日までの委員会の活動からしますと、国土交通省の中で原因究明をやっていくことについて支障はない、このように私どもは考えておるところでございます。
 的確な調査、公平、適切な調査を行う、特に公正な調査を保障するということは、航空事故の場合も、調査委員会設置法の四条に、委員会の委員長及び委員は独立して職権を行うというふうに規定されておりまして、まずこのことが保たれる仕組みであるかどうかを私どもは考えたいと思っております。
 そしてまた、航空事故調査、鉄道もこれから同じことになると思いますが、事故発生の通報、現場保存、応急の事実調査、情報の提供、こうした事柄が非常に大切になるわけでありまして、国土交通省の所属機関の、関係の機関の援助がどうしても不可欠だと考えております。また、常日ごろからこれらの各機関との連絡を密にする必要があるということを考えておりまして、委員会を国土交通省に置くということで今後とも対応させていただきたい。また、法律もそのような体制で提案をさせていただいているところでございます。


  1. 2008/02/03(日) 19:52:52|
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145-衆-日米防衛協力のための指…-川本参考人 平成11年04月07日

145-衆-日米防衛協力のための指…-川本参考人 平成11年04月07日

○川本参考人 
 私は、一番最初の紹介で簡単に触れていただきましたとおり、日本乗員組合連絡会議で議長を務めさせていただいております。私たちの団体は、私のこの後の意見の理解を得るためにごく簡単に説明させていただきますが、日本の民間航空で働く機長、副操縦士、航空機関士五千二百名、日本の民間航空のパイロットのほぼ九割以上を組織する団体でございます。
 私の前に、お三人の参考人の方が非常に高度な、政治的な問題について大所高所から意見を述べられていたようでございますが、私はそういうのは専門外でございまして、私の所属する団体の中の討論の経緯について、ぜひ皆様、国会の諸先生方に御理解いただきたい。なお、逆に、極めて諸先生方にとっても身近な問題ではないかと考えております。
 現在、このガイドラインの問題について、政治の最も大きな議題になっているわけでございますが、私ども民間航空に働く者にとっては極めて関心の高い事項であるし、また、このガイドラインと民間航空の関係について極めて強い危惧を持っているということで、時間の許す限り、三点ほど私の意見を述べさせていただきたいと思っております。
 まず第一点目でございますが、私たち、常日ごろ、ごく普通の感覚で、どこの国へでも民間の旅客機に乗って出張なり観光なりに行っているわけですが、国家という枠組みの中でそれが余りにも日常的に行われているのでどなたも不思議には思わないんですが、これは極めて重要な枠組みの中で行われているというふうに考えていただきたいと思っております。その枠組みというのは、国連の範囲の中の国際民間航空機構、その機構を維持する国際民間航空条約、一般的にはシカゴ条約と言われておりますが、その国際民間航空条約並びにICAOという民間航空機構が機能しているから、そういう利便性を日常的に我々は利用してその利益を享受している。このガイドラインが発動されるような事態に立ち至った場合には、その枠組みに対して極めて私どもは心配をしております。
 この条約、シカゴ条約の前文には、お手元に三部ほど資料がございますが、全部読む時間はございませんが、まず、国際民間航空の将来の発達は、各国の友好と理解を創造し、以下云々と。それで、国際民間航空の乱用は、一般的安全に対する脅威となることがあるので、また、摩擦を避け、協力を促進することが望ましい、そういう目的のために各国政府はこの条約を締結するんだというふうに書かれております。これがいわゆるシカゴ条約の精神であると私たちは考えておりますし、全体を通じて流れている考え方と。
 その第三条には、民間航空機とは何なのか、国の航空機とは何なのか。国の航空機とは、これは当然でございますが、軍、警察、税関等の飛行機。したがって、この国際民間航空条約の権利なり責任なり保護なりを受けられるのは民間航空機に限るんだということが、この条約の中ではっきりとうたわれております。したがって、国の航空機というのは、この国際的な民間航空のシステムの中では保護を受けられないということになります。
 第四条は、各締約国は、この条約と両立しない目的のため民間航空を使用しないことに同意する、そういうふうにもうたっております。なお、日本国の航空法では、第一条、その目的の中で、民間航空条約の精神にのっとってこの法律を制定するというふうになっているわけでございます。
 したがいまして、ガイドラインが発動されるような事態に万が一立ち至った場合には、それらの前提がすべて崩れてしまい、私たち直接その場に働く者にとっては、極めて大きな危惧を抱かざるを得ないというふうに考えております。
 それから、第二点目でございますが、周辺事態法の中で、いわゆる日本が行う米軍に対する支援について規定がございます。先生方も当然御存じの第三条関連、それから第九条関連でございますが、私たち民間航空の場に働く者もこれとは無縁ではないというよりも、極めて密接に関連している。第九条第二項では、「国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。」というふうにされております。この委員会の中のやりとり等を私たちは新聞やテレビ、雑誌等を通じて非常に注意深く見守っておりますが、これはあくまでも依頼であって強制ではないんだというふうに一般にはとらえられているようでございますが、果たして現実はそのような言葉どおりに動くのかという危惧が非常に強いわけでございます。
 いわゆる、国から企業に対して依頼という形で要請が行く。企業は、許認可権が非常に多い航空の中では、国に対してそれをお断りするというのはかなり至難のわざではないかなというふうに考えております。具体的には、ある航空会社の団体交渉の中では社長が、それはこたえるんだ、国の要請にはこたえるというふうに明言をされております。
 そういうような中で、従業員にとって、会社からの業務命令に逆らうことは極めて難しい。それは私たちが生活をかけて拒否をするのか、やむを得ず参加するのかという二者択一を迫られる場合が極めて具体的にあらわれてくるのではないかという危惧を私どもは持っております。
 なおかつ、その協力の中身については、法律の中では、自衛隊の行う協力については別表で表示されているようでございますが、民間の協力については明文がないといいますか……。
 それで、私たちとして考えられる民間の航空関係の協力というのは幾つかあるのですが、代表的なものを挙げさせていただければ、まず米軍による空港の使用、それから、その空港での人員や物資の積みおろし、保管及びその場所の提供、それから、私たち民間航空機による人員なり物資の輸送、これは九七年、日本のある航空会社はアメリカの海兵隊の人間を沖縄から横田に実際に運んでおります。これについては、私ども民間航空の中では非常に大きな問題になって、団体交渉等を通じて会社に中止を依頼し、帰りの便については会社が中止したという経緯もございます。それから、航空機の整備、燃料等の補給、傷病者の輸送等々たくさんあります。それから付随的に、これらを円滑に遂行するために、航空管制や空域の優先的な使用も当然発生してくるのではないかと考えております。
 こういう事態に立ち至った場合に、果たして民間航空にとってどういう影響があるのだろうか。
 今の日本の経済活動の中で、民間航空抜きには考えられない、人の流れの大動脈の一つを私たちは担っているという自負がございます。そういうような影響の中では、民間航空の流れが極めて制限を受ける、場合によっては異常接近なり空中衝突なりの危険性が非常に多くなるのではないかと考えております。現在でも、私どもは、日本の何カ所かでは軍用機と民間機の異常接近が日常茶飯事的に発生しておりまして、それらについて、昨年は運輸省なり米軍にお話をさせていただいた経緯もございます。
 また、日本国内にとどまらず、日本からヨーロッパ、朝鮮半島、中国、アジアは、日本海周辺空域を飛行しなければ飛べないわけでございますが、万が一その周辺の空域なり海域が紛争事態になった場合には、民間航空の安全は根底から覆ってしまうのではないかと考えております。一機の飛行機に乗り込んでいる乗客、乗員は、これは下世話な言葉で言えば一蓮託生でございます。どんな高官でもまたはそうじゃない人でも、運命共同体というふうに私どもは考えております。したがって、私たち民間航空に働く機長の責務は、まず第一に最優先させるのが、御搭乗していただいている乗客の皆様の生命の安全を確保することが私たちの第一義の任務だと考えております。
 なお、それに付随して発生する問題として、万が一紛争が発生した場合に、私たちにとって最も脅威となるのがテロでございます。これは具体例が何件もございます。一つ一つ説明するにはもう余り時間がございませんが、このテロを防ぐのは、相手の意思がかたければほとんど不可能と言っていいと思います。なぜかと申しますと、日本の民間航空機、これはアフリカの一部を除いて毎日世界各国を飛び回っております。日本の中で幾らセキュリティーを厳重にしても防ぐことはできません。これは、私どもは断言をする自信がございます。
 具体例といたしまして、一九八七年、北朝鮮が大韓航空機に爆薬を仕掛けて、アンダマン海上空で、乗客二百名程度だったですか、ちょっと今数字は覚えておりませんが、お亡くなりになっておりますが、これはソウル・オリンピックを妨害するための工作であったというふうに事故調査報告では述べられております。
 あともう一件。その翌年でございますが、一九八八年、イギリスのスコットランド上空でパンナム機が爆破されております。パンナムは当時経済的に困難であったんですが、この事件を契機に、一挙に会社の消滅という道に走ってしまったというふうにも言われておりますが、当初、この事件は、その飛行機に米国の高官が乗っていらしたんですが、それをねらったのではないかというふうに言われていたんですが、後々の事故調査によりまして明らかになったのは、米軍のトリポリ爆撃に対するリビアの報復テロであったというふうに言われております。このときの犯人は、十年たっても引き渡しを受けませんでしたが、つい二日か三日前、オランダに引き渡されたということでございますが、万が一リビアの国家テロだということならば、引き渡された犯人がいてもこの事件の真相が解明されるようなことはないのではないかと私は危惧いたしております。
 最後でございますが、そういう紛争当事国にならなくても、イラン・イラク戦争のときに、ホルムズ海峡で米軍の誤射によってイランの航空機が撃墜されてしまいました。そのときに十六名の乗組員を含む二百九十名の乗客の方は全員お亡くなりになったというような苦い苦い教訓、悲劇がたくさんございます。
 私どもは、そういう観点から、大所高所の論理ではないかもしれませんが、民間航空に働く現場の人間といたしまして、ガイドラインの法案については大変危惧をいたしております。
 先生方のお手元に、三部つづりの資料がございますが、一番最後に「ガイドラインに対する航空労働者の見解」という私どものアピールがございますが、ぜひ後ほど御一読いただきたいと考えております。
 大変ありがとうございました。(拍手)

○佐々木(陸)委員 最初に川本参考人にお聞きをしたいと思います。
 この法案が通ったりいたしますと、民間航空が、周辺事態に際して、武器弾薬の輸送や兵員の輸送等々にかなり大規模に動員される可能性があると思います。そしてまた、民間空港がそういう軍の用に供せられるようなことも起こり得ると考えるのですが、先ほど資料としてお配りいただきました、航空法や国際民間航空条約に照らしてそういう事態がどういう意味を持つのか、そしてまたそれが国民にとってどういう影響を持つのかということを、先ほどもお話しいただいたのですが、もうちょっと、本人の主観を交えてでも結構ですので、詳しくお話しを願いたいと思います。

○川本参考人 まず、国際民間航空条約との関係で申しますと、先ほども簡単にお話しさせていただきましたが、国際民間航空条約、これは名前のとおり民間航空機にのみ適用される条約でございます。したがいまして、例えば民間航空機が政府機関との契約によって業務を行う場合に、果たしてそれが民間航空機と認定されるのか国の航空機と認定されるのかという問題がございます。国の航空機はこの条約では適用外でございますから、いわゆる民間航空条約の保護を受けられないということになります。一部の議論として、国と契約しても国の航空機ではないという意見もあるのは承知いたしておりますが、相手がそういう論理に立つかどうかというのは別の問題ではないかと考えております。
 なおかつ、民間航空条約の中で、いろいろな規定がございますが、日本は理事会のメンバーでございます。これは第五十条にございますが、それぞれ世界の主要な国の中から選ぶようでございます。詳しくは今御説明する時間がございませんが、日本は、航空にとって最も重要な国の中から選ばれて、いわゆる理事国と申しますか、なっております。したがいまして、民間航空条約の精神並びに規則の実施については最大限遵守する義務が当然あるだろうというふうに考えております。
 なお、先ほどサンフランシスコ条約について、西村先生でございますか、お触れになりましたが、民間航空条約に参加するに当たり、日本は大変な努力を行っております。これは一九四四年にシカゴで航空会議が行われましたのでシカゴ条約と呼ばれておりますが、日本がサンフランシスコ平和条約を結びまして、その中の、ちょっと今条文を覚えておりませんが、十三条だったと思いますが、民間航空条約に参加するまでその規則に従いなさい、それで条約締結後六カ月以内に申請をしろ、それでその申請を受理するかどうかは、これはいわゆる枢軸国側としての扱いを受けますので、国連総会それからICAOの絶対多数、それぞれたしか三分の二、五分の四だったと思いますが、そういう厳しい審査を受けて条約に加盟しているという歴史的事実も踏まえて、極めて誠実に履行義務があると考えております。
 第二点目の、国民生活につきましては、これは具体的な問題といたしまして先日の朝日新聞でも非常に大きく報道されておりましたとおり、運輸省が悩んでいるというような報道がございました。例えば、国の管理する飛行場については国の命令で米軍が使用できるのでしょうが、第三セクターといいますか成田なり関西空港なりは、それぞれ極めて大きな制約をはめて開港いたしておりますが、しかし、今まで言ったことと違う事態になりかねない、運輸大臣の命令で使用ができるというふうに省内での意見統一がなされたというような新聞報道が、朝日新聞の報道でございますが、ありました。
 そういうような問題だとか、それから、日本の地図を頭に浮かべていただければいいと思うのですが、東京から北にはいわゆる縦、ところが、紛争が発生するのは海の上でございますから右左に飛ぶわけですね。それで、東京から西の方になりますと、民間航空機は原則的に右左に飛ぶわけですが、海があるのは、紛争地帯があるのは大体上の方かな、北側でございます。ですから民間航空の流れと極めてふくそうする形で、私たちの航行の安全にとっても極めて重大な脅威があるし、それから空港の使用なり、優先管制なりなんなりで、経済活動においても極めて重大な影響があるというふうに考えております。
 以上でございます。

○佐々木(陸)委員 先ほど配っていただきました資料の最後に、「民間航空機による米軍兵士の輸送など軍事目的への協力は絶対に認められない」という、これは九七年の七月の乗員組合連絡会議の声明ですか見解が付せられておりますが、乗員組合連絡会議も参加した陸海空、港湾、交通、運輸関係労働組合が最近アピールを発表しているんではないかと思いますが、よろしければその内容などをちょっと御紹介いただきたいと思います。

○川本参考人 アピールそのものは、大変長くなりますので、A4の紙二枚でございますのでこれを読み上げるには相当な時間が要るので、要旨だけを説明させていただきます。
 今御指摘のありましたアピールについては、本年三月十九日、陸上、海上、航空の交通、運輸関係並びに港湾関係労働組合の共同アピールでございまして、「「ガイドライン」関連法案の廃案を求めます。」というアピールです。中には、いわゆる自動的に戦争に巻き込まれる問題、それから、先ほどもございましたが、後方地域支援の問題、これが果たして安全なのかどうか、それから日本国の憲法なり国際法に違反しているのではないか、それから経済活動等、国民生活にはかり知れない影響を与える、五番目といたしまして、自治体や民間への協力の依頼というのは、条文ではそうなっておりましても、私たち、いわゆる企業内で働く人間にとっては、これは実質強制に近いのではないか等々についての意見のアピールという形でまとめております。
 以上でございます。

○佐々木(陸)委員 ありがとうございました。
 冒頭の御発言ですと、航空機の、川本参考人が議長を務めていらっしゃるところが大体五千二百人、労働者の大部分を代表していらっしゃるということでしたが、このアピールは何人くらいの労働者を代表していらっしゃるんでしょうか。
 最後に一言だけそれをお聞きしたいと思います。

○川本参考人 大変申しわけございませんが、実数については持っておりません。私どもが少なくとも五千二百名、私どもはパイロットの団体でございます、私も現役の機長でございますが、それを含みまして、管制官、それから整備、地上のいろいろな航空関係の方等々を含めまして二万三千人を擁する航空安全会議というのがございますが、それを含んで、あと海員組合等々、実態については相当な数に上ると思いますが、まことに申しわけございませんが、準備不足で、数字については持ち合わせておりません。
 以上でございます。


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134-参-運輸委員会-筆坂秀世君 平成07年11月09日

134-参-運輸委員会-筆坂秀世君 平成07年11月09日

○筆坂秀世君 沖縄での米兵による少女暴行事件を機に、基地の撤去、縮小というのがこれは大きな政治問題になっています。この縮小、撤去というのは基地だけではなしに空や海にわたっても同様です。
 今月の四日、村山首相と沖縄の大田知事が会談をされましたけれども、その際にも日米地位協定の見直し要請に関する説明書というのが手渡されまして、この中で「米軍基地に接する水域や訓練水域、訓練空域が設定されていることから、米軍基地は本県の振興開発の推進及び県民生活の安定を図る上で大きな制約となっています。」というふうに述べて、具体的には地位協定第六条に基づく進入管制業務、これを日本に移管してほしい、取り戻してほしい、こういう要望が出されております。
 何で進入管制業務が今米軍に握られているのかといえば、一九七二年五月十五日の日米合同委員会で、「単一施設によって進入管制を行う必要があるので、日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行うまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施するものとする」、こういう合意が結ばれたと。ここにその原因があるわけですけれども、当時なぜこのような進入管制業務を米軍にゆだねるこういう合意がされたのか、その背景を簡潔に説明していただきたいと思います。

○政府委員(黒野匡彦君) 事実関係は今先生の御指摘のとおりでございまして、「暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施する」と、こ
うなっております。当時の事情を今振り返ってみますと、沖縄の返還を受けたわけでございますが、こちらの管制能力、量的にも質的にも必ずしも十分ではなかったということがあってしばらくは向こうにお願いする、こういうことになったと私ども理解しております。

○筆坂秀世君 そういうことですね。
 ところが、この合意から既に二十三年たっております。日本の航空管制能力、これは技術的にもあるいは施設という点でも飛躍的に向上しているんじゃないでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) 言われるとおり、技術的にも施設的にも世界におくれをとるという点はないと思っております。

○筆坂秀世君 つまり、当時二十三年前には管制業務を行う能力がなかった、設備も技術的な水準も低かった。したがって、暫定的にですね、しばらくの間米軍にゆだねましょうと。しかし、もう世界各国に比較しても全く遜色ないトップクラスの能力を持っている、設備の上でも技術水準の上でも。そうであるなら、この進入管制業務を日本に移管するというのが日米合同委員会の合意に照らしてこれは当然じゃないでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) 御指摘の趣旨、私どもそのとおりと思っておりまして、五十八年以来機会をつかまえまして返還を要請しているところでございます。

○筆坂秀世君 そうですね。
 日米合同委員会の下部機関として民間航空分科委員会というのが設けられておりまして、これによりますと、一九八三年、昭和五十八年、第三十七回の民間航空分科委員会におきまして日本側からこういう要請が米側に対してやられています。「管制施設の近代化を推進してきたところ、関係各位の理解と協力を得て完成の域に達しつつある。」、「管制の技術面においても、」「格段に向上、充実を得てきている」、したがって、今米国が行っている「横田、嘉手納及び岩国の進入管制業務を航空局が引き継ぎ、もって一層の業務の改善とサービスの向上に資したいと考えている。」と、そのための了解があれば年次計画をつくり予算措置も講ずる、こういう決意だということを米側に対して言われていますね。
 これに対する米側の回答はどうでしたですか。

○政府委員(黒野匡彦君) 米側からは、米軍の運用上の必要にかんがみ本件返還は極めて困難である、こういう御返事をいただいております。

○筆坂秀世君 実にそっけない返事でして、これは第三十八回、一九八四年の航空分科委員会での米側の回答というのはどういうことかというと、「航空局から提案された横田、嘉手納及び岩国の進入管制業務を航空局が引きうけるとの要望は評価する。しかしながら、航空管制業務は米国軍隊の運用上欠くことのできない重要要件であり、興味あることではあるが、貴局の申し出はお断りする。」と。評価する、興味あると。興味あるというのもまあなんですが、しかしお断りすると。
 私は、これは日米合同委員会の合意違反だと思うんです。だって、一九七二年の日米合同委員会の合意のときには軍事上の必要性などという理由は、米側は全く挙げてないです。少なくとも公表された合意ではそうなってないです。挙げているのは、要するに技術的な水準がまだ足りないからだ、施設が劣っているからだと、これが最大で唯一の理由なんです。軍事上の理由なんか全く挙げてないです。ところが今、米国側はどうかというと、軍事上の理由で進入管制業務を日本に移管できないと。これはもう明白に日米合同委員会合意違反だと思うんです。そういう認識は運輸省はおありでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) 合意の違反とまで言い切れるかどうかは別でございますが、私どもといたしましては、返還を求めるべき正当な理由がこちらにはあると思っております。

○筆坂秀世君 当然日本側に正当な理由が、この経過に照らしてもあるいは合同委員会の合意に照らしてもあると思うんです。
 これはお願いをしたいんですけれども、この航空分科委員会というのは年二回開かれていますね。ことし七月に既に行われて、予定どおりだと今度十二月に行われる。私は、この十二月の航空分科委員会で、沖縄県の要望に照らしてもあるいは本当に航空の安全ということに照らしてもやはり厳しく、もう日本は大丈夫なんだ、合同委員会の合意を守ってほしい、こういう要望をされる必要があると思うんですけれども、大臣、御見解いかがでしょうか。

○国務大臣(平沼赳夫君) これまでも米側には日米合同委員会の民間航空分科会を通じて、もう条件は整ったからとにかく日本側に任せてくれ、こういうことでたびたび申し入れをしています。
 今御指摘のそういう沖縄の事案もございましたし、私どもとしてはこれからも引き続き強力に要求をしていきたい、こういうふうに思っております。

○筆坂秀世君 十二月の分科委員会ではどうでしょうか。

○国務大臣(平沼赳夫君) はい、もちろんさせていただきます。

○筆坂秀世君 同時に、私申し上げたいのは、この民間航空分科委員会の構成というのが、日本側代表が運輸省の首席安全監察官で、米軍側が在日米軍司令部第三部部長(J3)、この二人が双方の代表一議長)ということになっているわけですが、やはり私はもう少しハイレベルの交渉を行う必要があるんじゃないかと。例えば日米合同委員会に正式にかけるとかあるいは幸い今月十一月には日米首脳会談も行われます。いろんな問題が話し合われると思うんですけれども、やはりこの問題についてもこういうハイレベルのところでも取り上げるということが必要だと思うんですね。
 今、嘉手納RAPCONと呼ばれる米軍の管制がこれは一手に握っているわけですけれども、例えばこれまでだってこの嘉手納RAPCONが故障したために民間機も飛べない、あるいは着けない、こういう事故だって起こっているわけです。
 例えば、これは民間航空会社の方が中心になって航空政策研究会というのが行われて、これは一九九三年だったと思いますが、「わが国の空域と管制システム」という報告をおまとめになっています。私、全部読ませていただきましたけれども、アメリカでも軍から民間の管制への移管というのが今ずっと計画的に進められているんですね。まして日本の場合は外国の軍隊に管制業務を握られている。これは全く異常な事態だと思うんです。
 私、航空評論家であるとかあるいは元管制官の方であるとか、何人かにお伺いしましたけれども、少なくとも外国の軍隊に、自国軍隊じゃないですよ、外国の軍隊に民間航空機の管制業務まで握られている、少なくとも先進国と言われる国ではこういう事態というのはないと思うんですけれども、どうでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) 私も全世界のことを承知しておりませんが、余り常識的なことではないことは確かだと思います。

○筆坂秀世君 それだけに大臣に重ねてお願いしたいんですけれども、やはり大臣自身が、例えばアメリカの連邦航空局になるんですか、あるいは日米首脳会談でも議題にしていくと。もっとハイレベルでこの問題、十二月待たずにぜひ取り上げていただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君) そういう御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。

○筆坂秀世君 米軍による日本のいわば空の主権といいますか、これを侵している実態というのはもちろん管制業務だけじゃございません。
 これはもうよく知られていることですけれども、これは運輸省にも、こういうものがあります。(資料を示す)沖縄の空というのは、沖縄の空だけじゃなくて横田もそうですし岩国もそうですけれども、いわゆるウォーニングエリアというふうに呼ばれる米軍専用の訓練空域、これによって本当にびっしり埋められている。そのすき間を縫って民間機が離着陸をするというのが、これが沖縄の空の現状だと思うんです。
 しかも、それだけじゃなくて、アルトラブというふうに言われます、ある一定期間訓練空域を随時設定する、こういうものもウォーニングエリア以外にこれは随時行われている。ですから、航空地図で見れば、本当にもうすき間を縫って民間機が飛び交うというのが今の実態だと思うんです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、このウォーニングエリアというのは復帰前からこれはもう設定されていました。復帰以降、このウォーニングエリアというのはふえているんでしょうか、それとも減っているんでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) 今私どもの手元にあるデータでは、一九七二年に十四カ所ございました。それが一九八五年の四月に一カ所ふやしまして十五カ所となっております。ただ、この際には既存のウォーニングエリアのうち五カ所につきまして区域を削減するという措置をあわせてとっております。

○筆坂秀世君 つまり、削減措置はあったとしても、復帰時には十四カ所だったウォーニングエリアが、一九八五年ですか一カ所ふえて十五カ所になっている。つまり、縮小してほしい、こういう空のいわば障害を取り除いてほしいというのが、これはもう沖縄県民だけじゃないです、当然日本国民だれもがこんなものはなくしてほしいという願いだと思うんです。ところが、それがふえている、一カ所。これが今の実態だ。ですから、沖縄県知事がこれは何とかしてもらいたいというふうに要望されるのは私は当然だと思うんですね。
 しかも、アルトラブはどうなんでしょうか、ふえているんじゃないですか。

○政府委員(黒野匡彦君) アルトラブと申しますのは、臨時に一定の空域を制限して特定の目的に使う措置でございますから、ウォーニングエリアのように長期間にわたって専用的に使うのではございませんから、ちょっと性格が違うと思いますが、数としては傾向としてそんなに高低はないかと思いましたが、その必要に応じまして全体の安全等を調整しながら認めているということでございます。

○筆坂秀世君 これは全運輸省労働組合の沖縄航空支部が八七年にまとめられた資料によりますと、一定の高度、空域、経路、これをブロックする臨時の専用空域、いわゆるアルトラブ、これが年間約一千回に上っている。大体この数年間を見ますと八百回とか九百回とか、多いときには一千回ぐらいとか、これは相当な数です。一年三百六十五日で大体米軍は日曜日休みますから、ですからやはり一日平均すれば三カ所ぐらいのこういう臨時の軍事専用空域が設定されておる、ウォーニングエリア以外にね。これはもう非常に危険な事態だと思うんです。
 ところが、このアルトラブがいつどの空域、どの高度あるいはどの経路で設定されているか、これについて公表はされているんでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) アルトラブを設定したところにつきましては、管制部の方からその付近に入りたいという航空機に対して注意を促すという措置をとっておりますから、例えば何月何日との空域がアルトラブになっていますということを前広に通告するということはしておりません。

○筆坂秀世君 そうですね。公表されていないんです、アルトラブというのは。知っているのは、アルトラブを設定したいという米軍側とそれを受けてオーケーですと言った運輸省側と、この両者だけです。例えば雷雲が発生したとか、緊急避難しなきゃいかぬというときには、その時点で民間航空機は連絡をとって、いやこの空域はだめです、今アルトラブになっています、かかっていますよということになるわけです。
 しかし、どうにもならないような、そのアルトラプが設定されている空域に緊急避難しなきゃいけない、そういう事態というのはこれは当然あり得ることなんです。そういう事態が何回あったか頻度が高いか低いかはともかくとしまして、そういう事態は当然あり得ることなんです。
 何もこれは軍事作戦やっているわけじゃないでしょう、訓練やっているんですから、訓練空域なんですから。そうであるなら、このアルトラブについていつ、どの高度、どの空域、どの経路でやっているのかというのを私は公表して何ら差し支えないんじゃないか。安全性確保ということからいえば、これは事前に知っておいた方がいいわけですから。操縦士があそこはだめだ、緊急避難できない、ここも緊急避難できないということをわかっていた方がはるかにこれは安全性を確保できるわけですね。だから当然公表すべきじゃないでしょうか。

○政府委員(黒野匡彦君) 私ども、空の管制を一元的にやっておりますから、個々の航空機がどこに飛びたい、どういう経路で飛びたいということはすべて把握しております。したがいまして、個別の対応で従来のところ特に問題は生じておりませんものですから、現時点におきまして特にそうしなければいけないという問題意識は持っておりません。

○筆坂秀世君 先ほど御紹介しました航空政策研究会の報告を見ましても、どういうことを書いているかといいますと、「制限空域については、管制機関と空域管理機関(米軍)との直接連絡方法がない場合が多く、必要時に即応できない状態となっている」、こういうふうに述べています。
 あるいは別の箇所では、「沖縄においては、周囲のほとんどを試験・訓練空域に囲まれており、公海上には、ウォーニングエリアと呼ばれる訓練空域でもなく、制限空域でもない米軍用の空域が存在して民間機の運航空域を圧迫しており、このように他国の軍隊に領空の通行権を確保されていることは、望ましい形態ではないと思われると。」、これは民間航空会社の方々の率直な意見だと思うんです。
 今、航空局長は支障はないというふうにおっしゃったけれども、そこで伺いますが、自衛隊が臨時の訓練空域を設定する場合がありますね。そして、ある空域や高度をフロックする。これは事前に防衛庁から運輸省に要請があって、そしてその空域はどこなのかその高度はどこなのか、あるいは経路があるものであれば経路はどこなのかということが航空路誌によって二十八日前に公表されているんじゃないですか。私はその航空路誌の一部を持ってきましたけれども、これで公表されていますでしょう。これで二十八日前に自衛隊の訓練空域については周知徹底されているんです。何でかといったら、安全性を確保するためです。
 自衛隊機の訓練空域は二十八日前、約一カ月前に周知徹底するけれども、米軍のやっについては尋ねてくるまで、緊急避難の要請があるまでこれは全く知らない。どう考えたってつじつまが合わないじゃないですか。だったら、自衛隊機の訓練空域は何で一カ月前に周知徹底するんですか。安全性確保のためじゃないんですか。

○政府委員(黒野匡彦君) ウォーニングエリアもそれからアルトラブも含めまして、この設定する段階から民航機との安全性をどう保つかということを判断した上で我々は協議に応じているわけでございます。したがって、安全についてどこまで措置をとるかという程度の問題かと思いますが、今の段階におきましては、ウォーニングエリアとアルトラブにつきましては今の状況で特に大きな支障はないと私どもは思っております。

○筆坂秀世君 じゃ、何で自衛隊は公表するんですか、周知徹底するんですか、自衛隊の訓練空域は。

○政府委員(黒野匡彦君) 一つは、二十八日前というかなり前広にわかりますものですから技術的に公表が可能だということに加えて、念には念を入れてということではないかと思います。

○筆坂秀世君 それはおかしいな。だって、日米合同委員会の合意で、これは一九七五年五月、何と言っているかというと、「米国政府は、軍用機の行動のため空域の一時的留保を」、アルトラブですね、「必要とする時は、日本側が所要の調整をなしうるよう、十分な時間的余裕をもって、その要請を日本側当局に対して行なう。」、こうなっているんです。だから、自衛隊機だけじゃないで
すよ。米軍のアルトラブだって所要の調整が行えるよう十分時間的余裕を持って行うというふうに日米合同委員会の合意で言っているじゃないですか。
 だったら、何で米軍の方は公表しないんですか。自衛隊だけ公表して米軍は公表しないというのはどう考えたって矛盾があると思いませんか、あなた。

○政府委員(黒野匡彦君) 米軍との関係につきましては、所要の調整に必要なだけのインターバルを持って連絡をもらうということは、先生今おっしゃったとおりでございます。
 その調整をした上で、今おっしゃったような航空路誌にまで出すというだけの時間があるかどうか。それはかなりケース・バイ・ケースで難しい場合もございますし、繰り返しますが、そもそもの設定の段階におきまして安全について十分配慮した設定をしているつもりでございます。

○筆坂秀世君 あなた、おかしいよ。だって、航空路誌に載せるのに間に合うか間に合わないかというふうに今おっしゃったけれども、じゃ米軍側は日米合同委員会の合意を守っていないということじゃないか、十分前もって要請すると言っているんだから。もしぎりぎりになって航空路誌に載せられないというふうな事態でアルトラブの設定を向こうが求めてくれば、断ればいいんです。なぜなら日米合同委員会の合意があるじゃないですか。そんな急に言われたって困る、航空路誌に載せられないと言えば一言で済むことじゃないか。そうなんじゃないですか。

○政府委員(黒野匡彦君) 運用といたしまして、その調整に要する時間ということをお互い合意してやっております。したがって、航空路誌云々ということとは別だという理解をしております。

○筆坂秀世君 大臣、先ほど来ずっと午前中からの審議の中でも安全性の確保ということが各委員の皆さんからも強調されましたし、大臣からも強調されました。
 今の航空局長の答弁を聞いていただいて、自衛隊の訓練空域は安全性確保のために二十八日前に周知徹底する、米国側のアルトラブについては周知徹底しない、公表しないと。これはどう考えたって矛盾があるわけです。やはりこの問題というのは日本の空の安全の根幹にかかわる問題です。沖縄だけじゃないですから、岩国もしかり、横田もしかりですから。
 ですから、この問題も航空分科委員会でもいいですし、あるいはもっとハイレベルのところでもいいですし、せめて自衛隊並みに、アルトラブなんか少ない方がいいと思いますけれども、やる場合には少なくとも周知徹底するということを米側に求めるべきじゃないでしょうか。

○国務大臣(平沼赳夫君) 今、航空局長から御説明をいたしまして、すべて空を飛んでいる民間航空機に関しましては我が国の管制が十分に事前に把握をしておりまして、今の段階では適切に連絡をとって安全上今までは全く支障がないという形で来ております。
 しかし、確かにそういう御指摘の点もあると思いますので、十分私どももそのことは検討させていただきたい、こういうふうに思います。


  1. 2008/02/03(日) 19:51:48|
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衆-国土交通委員会 清水信三君 平成13年03月27日

衆-国土交通委員会 清水信三君 平成13年03月27日

○赤松委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学大学院工学系研究科教授家田仁君、航空連合事務局長清水信三君、財団法人鉄道総合技術研究所専務理事佐藤泰生君及び日本乗員組合連絡会議議長川本和弘君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 議事の順序でございますが、家田参考人、清水参考人、佐藤参考人、川本参考人の順で、御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず最初に家田参考人、お願いを申し上げます。

○家田参考人 おはようございます。家田でございます。
 私は、東京大学の社会基盤工学専攻というところで教鞭をとっております。専門は、鉄道や道路などといった交通システムにかかわる工学や、交通政策及び都市政策でございます。
 私は、昨年三月に発生いたしました日比谷線中目黒事故におきまして、事故調査検討会の委員並びに検討会の下に設けられました日比谷線事故調査ワーキンググループのリーダーを務めさせていただきました。また、その前には、この事故調査検討会を立ち上げる契機となりました運輸技術審議会鉄道部会の議論にも参加させていただきました。
 そのような経験を踏まえまして、本日は、特に鉄道事故調査のあり方について意見を述べさせていただきます。
 お手元の配付資料にございますように、まず、日比谷線事故の調査のあらましをお話しいたします。
 まず第一に、事故調査の体制ですが、事故調査検討会とその下のワーキンググループに、大学や鉄道総合技術研究所などからいろいろな分野の多数の専門家を結集し、調査を実施しました。事務局としてのサポートは、当時の運輸省鉄道局の職員の方々にやっていただきました。
 この組織は、手続上は、当時の運輸省鉄道局長の下につくられた懇談会という形だそうでございますけれども、実質的には、かなり活発な活動を行う組織として機能させることができたと考えております。
 これは、もともと事故調査の充実を図るという運輸技術審議会鉄道部会の答申に基づいて日比谷線事故の前年につくられた組織でございます。
 次に、調査の基本方針をお話しいたします。
 これは、実を言うと、あらかじめ明確に定めていたわけではございませんでした。また、事故が発生してからは、こういうような基本的な事柄を議論するというような余裕もほとんどございませんでした。
 ただ、後から振り返ってみますと、おおむね次のような五点が調査関係者の共通の認識になっていたものと思われます。まず第一は、事故の再発防止を目的とする、そしてそのために原因究明と対策提案を行うということです。第二は、極力、客観的な調査方法を採用するということでございます。第三は、極力、早期の成果達成を目指すということでございます。第四は、具体的でかつ現実的な再発防止対策を提案するということでございます。第五は、極力、情報を開示することであります。
 こうした基本的なスタンスは、私は現在でも妥当なものと考えていますが、このような調査方針が調査検討会で堅持できましたことは、一つには、検討会の井口雅一座長の高い見識に基づいた強いリーダーシップのたまものであったと私は考えております。この点、申し添えたいと思います。
 このように、調査検討会は、事故の科学的な原因究明に最大の力点を置きましたので、調査作業の方法論もおのずからかなり広範で、なおかつ密度の高いものとなりました。具体的には、現地調査、車両や線路に関する各種の計測、行政を通じた当該鉄道事業者等からの情報取得、試験列車の夜間走行試験、計算機シミュレーション、得られたデータの分析及び技術的な討論などでございます。
 こうした調査方法によりまして、従来は一部の鉄道事業者を除きますと看過されがちであった車両の輪重バランスの問題などということがおおむね事故の原因と考えられるようなことが明らかになった次第でございます。
 次に、事故調査検討会によって得られました成果の出力を御説明します。
 まず一つは、事故後約七カ月後にでき上がった調査報告書でございます。この最終調査報告書に加えまして、調査の途中でも事故後約四カ月で中間報告を作成しました。
 また、事故の再発防止に向けた実現可能で、なおかつ具体的な防止対策を提言しました。対策に関しては、最終報告の段階のみならず、事故直後それから事故後約一週間後に出した緊急対策やあるいは事故発生箇所での速度規制及びその解除に関する意見をも提案しました。さらに、昨年七月には、鉄道事故調査体制の充実を図るべきであるという意見も、検討会として提言させていただきました。
 続きまして、第二点目の、鉄道事故調査充実の必要性と事故調査のあり方についてお話しいたします。
 まず、その必要性について述べます。
 我が国の鉄道では、他の交通機関あるいは諸外国の鉄道に比べますと、事故の発生は相対的に少なくなっております。しかし、頻度が低いとはいいながらも、社会的な影響も大きい、重大な事故が時折発生しています。また、遅延などの運転阻害事故の発生は、むしろ増大傾向にあります。
 今日、鉄道は、輸送量などから見て成熟期にあり、多くの事業者の経営環境も決して潤沢なものではありません。なおかつ、鉄道事業は、新幹線を運行している世界を代表するような鉄道事業者から、地方の中小事業者、各種のメーカーや整備作業の業者まで、非常に多数の、多様な事業者により営まれています。また、社会の高齢化とともに、現場の人たちの技能にも課題が生じるようになりつつあります。そして、技術の進展とともに、鉄道システムのメンテナンスや、あるいはオペレーションの方法も転換期を迎えています。
 一方、技術基準などにかかわる技術行政も、仕様規定によって事前に厳しく規制する従来の方式から、事前規制はある程度の柔軟性を持った性能規定に変え、同時に、万が一事故が発生した際には、公益的なスタンスから徹底して原因の究明に当たるという事後規制重視型のスタイルに転換が図られてきました。
 さらにまた、我が国は、特に高速、高頻度の都市間旅客鉄道や、あるいは大量、高頻度の都市鉄道では、ハード面及びソフト面ともに世界をリードする立場にあり、安全問題に関しても、世界に対して情報発信し社会に貢献する、こういうスタンスが不可欠でございます。
 こうしたさまざまな視点からいって、科学的に充実した事故調査が実施され、その成果が的確に実務に反映されるような体制を整備することは、やはり社会的な急務であると思います。
 次に、事故調査のあり方について意見を申し上げます。
 第一に重要なことは、調査が、客観的な主体による、科学的で公正なものであるべきことです。
 第二は、事故調査が、事故の再発防止を目的とした事故原因の解明と対策提案にあることを十分に確認することが重要です。この点、違法行為の有無と責任の所在とを明らかにすることを主眼とする刑事司法捜査とは根本的に異なることに注意が必要です。
 第三に、事故調査に当たっては、ハード面、ソフト面の直接的要因ばかりでなく、その背後に潜む潜在的な要因を含めて、事故の本質に迫る調査であるべきことです。
 第四に、既存のルールに違反したかどうかという点にとどまらず、ルール自身のあり方や、ルールの有無の是非にまで踏み込んだ検討がなされるべきことです。
 第五に、事故の原因解明と再発防止対策の検討に加え、この法案では事故の兆候と呼ばれていますが、いわゆる事故の芽を早期に発見することと、事故後のフォローアップにも十分な配慮が必要であると考えます。
 最後に、事故調査体制の整備のあり方についてお話しします。
 まず、何と言っても実効性、機動性のある効率的な調査組織を極力迅速に整備する必要があります。そのためには、既存の技術面、人材面のストックを最大限に活用して、現実的で実効性の高い組織をつくることが有効と考えます。また、内容のある調査を実施するためには、必要な事情聴取や物件の留置などに関しても十分に強力な権限を付与することが不可欠です。
 一方、長期的視点に立って事故防止を考えますと、事故調査体制の充実と並行して、中小の鉄道事業者などに対する技術面での支援や研修の制度、事故や安全にかかわる情報を社会の共有財産として確実にストックし、それを適宜活用する制度、事故の経験を風化させないための方策、安全情報を世界にも発信する制度など、制度面の充実も必要でしょう。また、事故防止のベースとなる基礎研究を鉄道総合技術研究所等において充実することも、長い目で見て重要なポイントであると考えます。
 いずれにしましても、日比谷線事故調査検討会に参加させていただいた者としましては、事故調査体制が一刻も早く充実されることを切望するものでございます。
 以上で、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうも、御清聴ありがとうございました。(拍手)

○赤松委員長 ありがとうございました。
 次に、清水参考人にお願いいたします。

○清水参考人 航空連合の清水です。よろしくお願いします。
 航空連合は約三万人の労働組合、航空及び航空に関連する労働者で集まっている産別組織でありまして、上部団体の方は、今連合に属して活動を行っております。
 私の方からは、今の国内の航空需要の件、加えて、事故調査のあり方について、今回の改正法案の中で幾つか不足点がございますので、それについて中心的に指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 御存じのとおり、国内航空需要は既に年間九千万人を超えまして、今や米国に次ぐ世界第二位の航空大国という形に日本はなっております。その日本におきまして、まさしく事故の発生する確率というのは非常に少ないわけですが、一たん事故が発生しましたならば多くの人命が失われるということもありまして、航空の安全性を高めることについては、まさしくこれは国家的な課題だというふうに思っております。不幸にして事故が発生した場合には、徹底的にその原因を追求、分析した上で、再発防止策を講じること、これが何にも増して重要だというふうに思います。
 事故調査に当たっては、やはり過去の責任を追及するよりも、あくまでも今後の再発を防止する観点、今後の航空の安全を確保する観点に視点を移すべきというふうに考えております。国際民間航空条約第十三附属書においても、事故またはインシデント調査の基本目的は将来の事故またはインシデントの防止である、罪や責任を課すのが調査活動の目的ではないというふうにしています。事故調査を行っている間も、同型の飛行機が世界じゅうの空を飛び交っているわけですので、一刻も早く原因分析をして再発防止を行う、何よりもこれが事故調査の基本だというふうに思っております。そのために事故調査委員会の果たすべき役割というのはますます重要だというふうに思っております。
 今回の改正法案の中では、航空機事故の兆候、インシデントに関しては対象に含めるということでは、一歩前進ということで評価もできます。しかし、その他の改正法案の多くに関しては、鉄道事故調査の整備体制をつくるということにやはり重点が置かれていまして、その他については単なる航空と鉄道をあわせただけにすぎないというふうに考えております。航空事故調査を強化していくというふうに考えている、必要性を持っている我々からしたら、大いに不足があるというふうに思っていますので、事故調査委員会のあるべき姿について、三点ばかり指摘したいというふうに思っております。
 一点目は、独立性確保の問題であります。国際民間航空条約の第十三附属書では、航空事故調査当局は、調査の実施に関し独立性を有し、かつ制限されない権限を有しなければならないと規定されています。ところが、日本の航空事故調査委員会は、設置法に基づきまして、監督官庁である国土交通省の一機関として設置されており、条約の求める独立性については満たしていないというふうに考えます。
 設置法の第四条に、委員長及び委員は独立してその職権を行うという形の明記がありますが、国土交通省内に調査委員会が置かれ、委員や事故調査官を初めとする事務局スタッフは国土交通省の職員である以上、国土交通省からの独立性については、やはり大いに疑問があると指摘せざるを得ません。事故調査の結果、国土交通省の職員に関する不利益となる取り扱いや勧告なども予想されますので、そういう形になれば、事故調査の任務を遂行するに当たって、支障を来す可能性があるというふうに思います。
 アメリカでは一九六六年に、航空事故調査委員会は、もともと他の交通機関事故調査委員会があったのですけれども、それと合体して、新設の国家運輸安全委員会NTSBと言われるものに移されました。組織的には監督官庁であるCABの中に設置されたわけなんですが、しかし、その後進んだ航空機の大型化あるいは技術の高度化、それに伴う航空機事故の大規模化などがありまして、事故調査委員会の中立性なり独立性が非常に求められるということから、一九七四年に運輸省から切り離されて大統領直属となったというふうに聞いております。
 一方、日本では、今回の改正案でも引き続き国土交通省内にとどまるということになっております。日本においても、事故調査委員会については、国土交通省から分離して、内閣に直結させることで独立性を確保する必要があるというふうに思います。具体的には、国家行政組織法第三条による行政機関としての設置を行うべきだというふうに考えております。
 以上が一点目です。
 それから二点目は、体制強化の必要性について述べたいというふうに思います。
 アメリカのNTSBは、航空のみならず、鉄道、船舶、高速道路などの他の交通機関の事故調査も実施し、再発防止を目的に活動しており、委員長以下五名の委員と約四百名のスタッフで構成されています。安全や技術に関する研究を行う調査部署なども設置されているというふうに聞いています。年間予算に関しても、二〇〇一年度に関しては六千五百万ドル、二〇〇二年度以降については七千二百万ドル計上されています。
 これに対して、今の日本の事故調査委員会については、この改正案の前のところはまだ航空のみを対象としていますし、構成しているのは非常勤を含めて五名の委員と三十一名の事務局スタッフにとどまっています。今回の改正法が成立すれば、鉄道事故も調査対象に含まれて守備範囲は広がるんですが、すべての交通モードについてカバーできるわけでもありませんし、若干の人員増はあるものですが、調査研究を行う専門的なスタッフを多く抱えるというふうになるわけでもありません。日進月歩の技術革新に対応するための事故調としての体制は引き続き不足しているというふうに思います。
 事故調査委員会においては、航空会社とかメーカーと日常的に情報交換並びに技術交流を行いながら、同等の知識、技量維持を行うことが不可欠だというふうに思っています。そういう形でいいましたら、アメリカのNTSBを参考に、現代の技術水準に見合った交通全般にわたる安全を担当する、いわば日本版NTSBに関しての設置を目指す必要があるというふうに考えます。
 以上が二点目です。
 三点目、こちらの方は権限強化の必要性について述べたいというふうに思います。
 事故発生のときに一番問題になるのが、事故調査と犯罪捜査、こちらの方の競合であるというふうに思います。刑法上の罪の存否について行われる犯罪捜査は、再発防止のために行われる事故調査とはその目的が異なっており、しかも強制力に裏づけされていることから、犯罪捜査が事故調査に重大な影響を及ぼすというふうに考えております。
 航空事故調査委員会発足に当たって、一九七二年に当時警察庁長官と運輸省事務次官の間に覚書が、その後七五年には細目協定が交わされて、これらによると、犯罪捜査が事故調査に優先するというふうに読み取れます。例えば、覚書では、航空事故調査委員会による関係者からの聴取や関係物品の提出要求などに関しては、あらかじめ捜査機関の意見を聞き、犯罪捜査に支障のないようにするということが盛り込まれていますし、細目協定においては、現場保存、検視あるいは身柄拘束、関係物品の押収などもすべて捜査当局主導型になっているというふうに思います。
 国内で航空機事故が発生した場合には、全国の警察組織の協力を仰がなければ人命救助や現場保存に支障を来すのは間違いありません。ただし、その後は、先ほど申しましたとおり、体制を強化した事故調査委員会が主導的に早急に事故調査を進めるべきだというふうに考えております。
 航空事故はその多くが何らかの過失によるものが大多数でありまして、故意によって引き起こされるケースというのはごくごく少数だというふうに思っております。こうしたことから、犯罪捜査を急ぐ必要性よりも、原因を特定して再発防止策を講じることの方がはるかに急ぐ必要性があるというふうに考えております。
 アメリカでは、NTSBの事故調査は犯罪捜査に対して優先権を与えられており、事故調査の過程において故意であるとの疑いが生じた場合には、司法長官と協議の上、FBIに優先権を譲るというふうに伺っております。日本でも、事故調査を犯罪捜査に優先させる枠組みをつくる必要があるというふうに考えています。
 以上の三点の指摘については、多くの指摘が、日本版NTSBを志向すべきだというふうな内容になっています。これは、先ほど言いましたアメリカに次ぐ世界第二位の航空大国である日本は、アメリカのNTSBの方もいろいろ紆余曲折を経ながら何とか今の形にたどり着いたというふうに思っていますが、そのアメリカのように、独立性を保ち、体制を強化して強い権限を持つ、そういった形での日本型NTSBについて、日本国民全体の理解を得ながら着実に変えていく必要があるというふうに思いますので、ぜひそこについても御検討願いたいというふうに思います。
 以上三点に加えて、正確な情報入手のための免責処分制度の必要性についても一言触れたいというふうに思います。
 情報をより多く正確に集めて原因究明するためには当事者からの事情聴取が欠かせませんが、先ほど言いました、当事者が刑事罰を受けることを恐れて真実を話さないことになれば、原因追求、真実解明について大きな支障が発生します。たとえみずからに、当事者にとっても不利益な内容であっても供述してもらうためには、事情聴取に当たり、故意や重過失でない限り刑事訴追を免除することをぜひ検討できないかというふうに考えております。米国では司法取引という形で刑事訴追を免れるケースが一般的にあると思いますが、日本ではそういうのはなじまないと思いますので、免責処分を制度化して刑事訴追を免除する方法を考えるべきだというふうに考えています。そういうことによって、先ほど言った事故の兆候であるインシデントについても当事者から自発的な形での報告などの件数がふえ、結果的には事故やインシデントの防止につながるというふうに考えておりますので、ぜひ御検討願いたいというふうに思います。
 最後に、今回の事故やインシデントを防ぐそもそもの最重要な課題ということで、今回発生したニアミスに関しまして、空域と管制について一言触れたいというふうに思います。
 現在の日本の空域については、七一年の雫石事故を契機に、民間空域と自衛隊訓練空域を完全分離するために見直されたものではありますが、その後の民間航空交通量の飛躍的な増加、あるいは民間機、自衛隊機の技術革新、性能向上、航行援助施設の性能向上等に伴う見直しというのは一切なされてきていないというふうに思っています。民間航空機の需要増加を踏まえて、現行の民間空域と自衛隊、米軍の訓練、制限空域との完全分離を前提に、民間機の飛行ルートを最優先した抜本的な空域の再編もぜひお願いしたいと思っています。
 加えて、日本の航空管制については、国土交通省、自衛隊、米軍、おのおのが担当しているために、極めて複雑で、情報伝達も煩雑になっていると思いますので、これにつきましても、ぜひ国土交通省の一元化に向けて進めていただきたいというふうに思っています。
 以上で参考人としての意見陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○赤松委員長 ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いいたします。

○佐藤参考人 鉄道総合技術研究所の佐藤でございます。本日は、鉄道事故調査に関し意見を述べる機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 鉄道総合技術研究所では、第三者機関として、鉄道事故が発生しました場合、事故原因の究明等の委託を受けて、事故調査のお手伝いをいたしております。また、私は、旧国鉄に奉職いたしまして、土木関係の職場であります線路分区、保線区、保線課、施設部などの責任者として鉄道事故に遭遇いたしましたので、その経験も含めまして意見を述べさせていただきます。
 私からは、鉄道事故の調査につきまして、次の三つの点について意見を述べさせていただきます。まず初めに、鉄道事故調査の目的と必要性について述べさせていただきます。次に、調査の進め方について述べさせていただき、最後に、調査の体制について意見を述べさせていただきます。
 鉄道は、世界的に見ますと、過去二百年の歴史の中で絶えず技術の進歩が図られてきましたが、残念ながら、その歴史の中で多くの鉄道事故が発生いたしました。しかし、鉄道では、事故が発生する都度、徹底した事故の原因究明と事故の防止対策が行われて、この積み重ねにより鉄道の安全性が高められ、今日、その安全性は社会に認められて信頼を得ております。鉄道は今後もさまざまな社会の要請にこたえていくこととなると思いますが、その過程において絶えず安全性を高めていくことが大切であると考えており、不幸にして発生する事故については、徹底的に事故原因を究明して、再発防止対策を立て実施することが必要であります。
 鉄道事故の調査は、責任者の特定を目的に行われることがありますが、鉄道の事故調査は、正確な原因究明とそれに基づく的確で効果的な再発防止対策の確立と実行についても目的とすべきであります。
 鉄道は、運輸事業として多くの企業が経営しております。したがいまして、ある場所で事故が発生した場合、その貴重な教訓をすべての鉄道企業において役立てることが必要であり、そのためには、事故の原因究明を専門的に効率よく行い、事故防止対策を全国的に実施に移す体制が必要であると考えます。
 また、鉄道の大事故には、予兆となる小さな事故、すなわちインシデントが存在するという意見があります。このようなインシデントについても、正確な情報を得てその分析を行い、全国的に的確な措置を行って大事故の発生を予防していくことが必要なことであると考えます。
 鉄道事故の調査は、主として事故に関係する鉄道事業者が行ってきました。鉄道総研では、第三者機関といたしまして、鉄道事業者などからの依頼を受けまして、事故の原因究明や再発防止にかかわる調査を行ってまいりました。
 鉄道総研で行われた調査の例を申し上げますと、例えば平成五年の大阪南港ポートタウン線事故の車両の電気部品、これはリレーの動作に関する調査でございますが、これを大阪市交通局から依頼を受けまして報告いたしました。また、昭和六十一年の山陰本線余部鉄橋事故では、旧国鉄から事故調査委員会を引き継ぎ、風と車両の相互作用、列車抑止について調査の対象を絞って検討をし、報告いたした例がございます。JR等、鉄道事業者の事故に関しましては、適宜依頼を受けまして、調査を行ってまいりました。
 したがって、効率的な事故調査を行って原因を究明し、的確で効果的な対策を立てるためには、客観性、公平性の観点から見ますと、なお中立的な第三者機関が中心となり、これに鉄道の専門知識を有する多くの関係者が協力して調査を行うことが必要であると考えております。また、調査活動におきまして、その調査結果を適切な時期にできるだけ公開していく、このようなことが必要であると考えております。
 次に、鉄道事故の調査の進め方について意見を述べさせていただきます。
 鉄道の事故調査におきまして必要不可欠なことは、事故直後の初動調査であると考えております。事故発生後、まず最優先に人命救助が行われることは言うまでもありません。その後行われる事故調査に当たっては、事故現場の状況と関係者の記憶による証言が正確に調査されることが必要であります。
 私が奉職していた当時の旧国鉄の例を申し上げますと、事故の調査は、運転事故報告基準規程、調査要領などに基づいて、詳細に行われました。これによる、当時経験した調査の例では、数百メートルにわたる事故現場とその前後にわたって、まくら木一本ごとに破損状況を調査し、また軌道の狂いは一メートルごとに、レールの摩耗は二メートルごとに、一ミリ単位で正確に測定されました。したがって、実際の調査は、鉄道線路に関して専門的な計測技術を持っている現場の技術係、検査係などの技術者が実施しておりました。また、車両の状態の調査につきましても、破損したすべての車両の部品、車輪についた傷の痕跡、あるいは車輪の形状等について調査報告することとなっており、したがって、車両についてよく知っている機関区、工場等の技術者も協力して調査が行われました。このような調査の方法は現在もJRに継承されていると思います。
 また、鉄道事故の原因究明のためには、事故後に、事故を再現するための走行試験や実験、破損した部品が存在する場合には部品の強度を測定するための試験など、調査を継続して行う必要がある場合があります。
 過去の大事故の例を見ますと、例えば鶴見事故の場合には、国鉄本社に技師長を委員長とする東海道本線鶴見列車事故脱線技術調査委員会が設置され、一定の原因が究明された後も、脱線事故技術調査委員会が四年七カ月にわたって設置されて、走行試験が繰り返され、新しい軌道の保守限度、新しい車輪形状などの効果的な対策が立てられた例があります。
 したがって、事故の原因究明に当たっては、まず疎漏のない調査を行うこと、次に慎重な原因究明を行うこと、そして的確な対策を立てて事故の再発防止に万全を期すことが必要であります。
 最後に、鉄道事故の調査の体制につきまして意見を述べさせていただきます。
 鉄道は、基本的に、線路の上で車両を運転し、信号保安装置で安全を確保するシステムでございます。したがって、鉄道の事故調査では、まず土木部門の線路の専門技術者、そして車両の専門技術者、運転の専門技術者及び電気部門の信号保安装置等の専門技術者が必要であります。これらの土木、車両、運転、電気の専門家が中心となって、協力して調査に当たる体制がまず必要であります。
 不幸にして鉄道の大事故が発生した場合、調査はでき得る限り慎重を期すべきでありますが、当該鉄道を利用しておられる方には、例えば病院に通院されている方、商売に利用されている方など、一刻も早い復旧が必要な方々が多数おられます。したがって、調査に当たっては、鉄道事故に関係するすべての機関と連携し、協力のもとに、効率的に実施されるべきであります。
 実際の事故調査では、専門の調査員のほか、補助として、第三者機関の専門家、学識経験者、鉄道の産業界、あるいは事故にかかわる内容に詳しい技術者等にわたることが考えられますが、これらの方々並びに所属する組織の協力が得られ、必要な要員を直ちに投入できる体制、また、現場の測定に必要な機械器具などが迅速に整えられる体制が必要となります。
 また、事故の原因究明が行われた後に最も大切なことは、的確で効果的な再発防止対策が立てられることであります。したがいまして、原因究明後、対策の効果についての理論的な検証、例えばシミュレーションとか実験的検証、例えば走行試験や基礎的な研究開発が必要となる場合があります。
 このような試験、検証に必要な要員や設備の使用には、引き続き多くの経費がかかることが予想されます。したがって、事故調査を専門とする委員会の活動が十分に行われ、その効果が発揮できるためには、事故調査の委員会と関係の行政組織がこれらの資金を確保すると同時に、その対策が実効を上げるよう、関係行政組織が責任を持って実施する体制が大切であります。
 以上を考えてみますと、今回、日本で初めて鉄道事故の調査委員会が設置されるのであるならば、まずは、従来から鉄道に対して責任と経験を持っており、情報を豊富に有している国土交通省の関係技術組織とできるだけ協調して事故の調査を実施できる体制から始めることが妥当であると考えられます。一日も早く、信頼できる事故調査を行い、実効のある対策を立てる組織がまず構築されることを望むものであります。
 以上をもちまして、私の意見とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)

○赤松委員長 ありがとうございました。
 次に、川本参考人にお願いをいたします。

○川本参考人 川本でございます。
 最初に、委員長初め委員の方々に、私どもの意見をこの場で陳述させていただく機会を与えていただきましたことを大変感謝いたしております。ありがとうございます。
 私、日本乗員組合連絡会議の代表、議長を務めておりますが、日本乗員組合連絡会議は、日本の定期航空に働く五千四百人の機長、副操縦士、航空機関士等、いわゆる運航のプロフェッショナルであります運航乗務員で構成する団体でございます。私も現在、ボーイング747の現役の機長でございます。そういう観点から、今般、改正が予定されております航空・鉄道事故調査委員会の改正案につきまして意見を述べさせていただきたいと考えております。
 清水参考人とダブります点はあえて省略して意見を述べさせていただきますが、今般の法律の改正で、事故の兆候、重大なインシデントが新たに事故調査の対象に加えられたことは、私どもの年来の要望でありまして、大変大きな評価をいたしたいと考えております。しかし、その他の部分につきましては、従来の事故調査委員会をそのまま踏襲するという形になっておりまして、種々の点で私たちは不足点を感じておりますので、その点について意見を陳述いたします。
 本年一月二十六日、扇国土交通大臣あてに、航空事故調査委員会設置法改正についての要望を提出いたしております。要旨については、独立性の確保、委員会の機能の充実並びに警察庁長官と運輸省の事務次官の間で取り交わされた覚書の撤廃、この三点になっております。
 なお、さかのぼりまして、約三年前になりますが、一九九八年にも、当時の川崎運輸大臣あてにもほぼ同内容の提言を提出いたしております。
 現在、世界の空には、いわゆるジェット旅客機が約一万一千数百機飛行しているわけでございますが、あるデータによりますと、二〇一五年にはこの機数が約二万五千機程度になるのではないかと言われています。ジェット機の導入以来、事故の発生率が大変減ってきたわけでございますが、この十年前後は、その発生率は減っておりません。これは百万回当たりに一回前後という極めて少ない割合でございますが、減っておりません。
 そういう推移を考えますと、二〇一五年ぐらいには、世界じゅうで一年間に約五十回前後の大事故が発生するのではないかという予測が出されております。そういたしますと、単純に計算いたしますと、これは一週間に一回、世界じゅうのどこかで大変大きな事故が発生するという計算になるわけでございます。したがって、いわゆる事故調査並びに事故の防止というのが国家的なプロジェクトとして取り組まれなければならないというふうに考えておりますが、具体的に、米国では、前ゴア副大統領を中心とした委員会が提言を出しまして、約六百数十億円の予算をかけてNASAでその研究がなされているというふうに私どもは聞いております。
 現在の趨勢はそういうことでございますが、次に、具体的に、私たちは扇大臣に提出した提言をもとに当委員会でぜひ具体的な事故調査の改善をしていただきたいと考えておりますので、その要旨について説明させていただきます。
 まず、事故調査委員会の機能を充実させていただきたいという点でございますが、これについては五点の具体的な提言がございます。
 まず第一点目については、事故調査能力を高めるために、専門委員または専門委員に準ずる者として、航空の実情または事故調査に精通した者を加えるようにお取り計らいいただきたいということでございます。
 我が国航空事故調査の過去の事例を見てみますと、運航の現場における実態等に精通した専門家が不在であったため、調査の過程で基本的な誤りを犯した例が散見されております。こうしたことを防止するためにも、何らかの形でパイロット、航空機関士、客室乗務員、運航管理者、整備、管制、気象等の専門家を調査の実務に参加させていただきたいということでございます。ICAOのアネックス十三には、事故調査官の資質について非常に具体的に触れておりますが、いわゆる極めて専門的で、いわゆる訓練を受けた人がその調査に当たらねばならないとなっておりますが、現在の事故調査委員会、いわゆる運輸省の中のいわゆるローテーション制度の中では、そういう経験を積む機会が大変少なくなってまいります。そういう意味でも、専門家の養成もぜひ図っていただきたい。
 二つ目といたしまして、事故調査委員会の予算を一層充実すること及び臨時の予算執行が可能な制度を新たにつくっていただきたいということでございます。
 航空事故調査委員会の年間の予算は約六、七千万円と聞いております。現在では、大型ジェット機のエンジンを一台分解するのには二千万円程度かかると言われておりまして、例えば四発の飛行機のエンジンですと、これらの検査だけでもほぼ年間予算を消費してしまうというような予算規模でございます。極めて不足しているのではないかと考えております。例えば、ニューヨーク沖で墜落いたしましたTWA八〇〇便という事故がございますが、その事故調査の過程では、残骸のほとんどを引き揚げたわけでございますが、それに費やされた費用は約三十五億円に上ると私どもは聞いております。
 第三点目として、意見聴取会を原則として開催するということに改めていただきたい、及び公述人を幅広く採用するように取り扱っていただきたいということでございます。
 現在の事故調査委員会設置法では、意見聴取会開催の要件として、委員会が必要と認めるとき及び航空運送事業の用に供する航空機の事故であって一般的関心の強いものに限定しております。委員会の裁量にゆだねる範囲がやや広過ぎるのではないかということで、原則として意見聴取会は開催するんだというように改めていただきたいと考えております。
 これまでの聴聞会は、搭乗者に死亡者が発生した場合だとか機体が大破または焼けてしまう、焼損するなど比較的規模の大きな被災の場合に開催されていますが、今改正案の眼目の一つで、重大なインシデントを事故調査の対象に加えるということになりますと、重大なインシデントというのはそういうような事態に至らないので、今の法案の取り扱いでは開催がほとんどされないのではないかというふうに考えております。
 また、意見聴取会に参加できる公述人を現在よりも幅広く、私どもは四点ほど考えておりますが、事故の原因関係者だとか遺族、被害者、それから事故の原因究明、再発防止の検討、被害の拡大防止策の検討などに関して経験を有する個人、団体、それから四点目といたしまして、これら以外で原因究明や再発防止の検討に寄与し得る航空労働者や目撃者、事故等の現場の周辺の住民、その他の団体等もぜひ加えていただきたい。これらの手法は、NTSBが現在でも事故解明の手順として取り入れている手順でございます。
 四点目といたしまして、事故の再調査の手続を法令に明記すること、及び再調査実施の要件について、事故調査委員会の裁量にゆだねられる部分を極力客観的な要因となるように変更していただきたいということでございます。
 現在の設置法並びに運営規則では、再調査の手続については明文が存在しておりません。国際民間航空条約の第十三附属書にはこれに関する明文規定がございます。日乗連は、過去、独自の事故調査を行うことによって原因究明の手がかりになる物的な証拠を提示したり、事故調査委員会とは異なる具体的な意見を表明した経験を持っておりますが、これらは受け入れられておりません。再調査手続に関する明文規定がないことが障害になっているとするならば、新たに規定を設置していただきたいというふうに考えております。
 具体的にはどういう場合かと申しますと、事故調査報告書に記載のない、あるいは確認されていない証拠の存在が報告されたとき、事故報告書または事故調査記録に触れられていない、もしくは見落とされている事柄が指摘されたとき、三点目として事故の技術調査の手法や手続について異議が唱えられたとき、次に、報告書作成後に新たな研究の成果として、事故調査の過程の一部に疑問が呈されるなど、事故原因究明の手続に影響を与える事実が判明したとき等々でございます。
 第五点目として、私どもでは現在ないというふうに考えておりますが、具体的な航空事故技術調査マニュアルを作成していただきまして、設置法の下位規定として位置づけていただきたいということでございます。これも、具体的にはICAOドキュメントとして第十三附属書の下位規定として具体的に定められたものが存在しております。
 以上が現在の事故調査委員会の機能を拡充させていただきたいという中の具体的な提言でございます。
 大きな二点目として、事故調査委員会を各政府機関から完全な独立組織とすることということでございますが、これは先ほど清水参考人が述べられた意見とほぼ重複いたしますので、内容については割愛させていただきます。
 三点目については、旧運輸省、警察庁間の覚書を廃止し、刑事捜査が事故調査の支障とならないように新たな取り決めの確立を求めたいと考えております。
 現行規定では、よく読みますと、警察の捜査が優先するようになっておりますが、警察本来の任務でございます現場の保存だとか人命の救助等に専念するような、新たな視点での取り決めを結んでいただきたいと考えております。
 時間が来ておりますので、これで私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

○赤松委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――

○赤松委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

○大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。
 本日は、航空、鉄道関係の御専門の四人の先生方に参考人としてお越しをいただきまして、非常に御示唆に富んだ御意見をお述べをいただきましたことを心から厚く御礼申し上げる次第でございます。
 それでは、時間も限られておりますので、早速私の方から参考人の四人の先生方に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 今私ども、この現代の社会、経済、我々の生活も、鉄道や航空といった、飛行機といった大量の輸送手段によって成り立っている、大変便利である、それを抜きにしては我々の社会は成り立っていかないということは、もう私が改めて申し上げるまでもないことだと思っております。いろいろなデータを見ても、これまでは鉄道の輸送量というのはすごいものであるわけでありますけれども、特に航空の輸送量が、とにかく落ちることを知らずにどんどん伸びる。これだけ右肩上がりに伸びていくのも珍しいんじゃないかなというぐらいのものだと思っております。そういう便利な、そして私どもの現代の社会、生活に欠かすことのできない高速で大量の輸送手段、これはもうますます重要になるわけでありますけれども、そこに当然必要なのが安全であるわけであります。
 関係者の皆様方がこれまでに培った御経験なり最新の技術も駆使して、乗客そしてまた利用される方の安全を確保されておられることは、本当に私ども敬意と感謝を申し上げる次第でありますけれども、不幸にして時々どうしても、それは人間のやることでありますし、機械、設備のやることであります、一〇〇%、とにかく安全でなきゃいけないわけでありますけれども、必ず全部、全く無事故というわけにもいかないわけであります。そこで、今回、航空・鉄道事故の調査委員会設置法の改正法案を出して、航空事故に加えて鉄道事故ということもこれに加えるということでございますし、新たにインシデントも加えるということでございます。そういう意味で、今回の改正法案、我々はとにかくこの何年かあった大きな事故を踏まえて、これは当然進めていかなければいけない、そのことが利用者、国民に対して果たしていく我々の責任だと思っておるわけであります。
 そこで、きょう、まず鉄道関係につきましてお二人の先生方にお聞きをしたいと思いますが、これまでに大きな鉄道事故に対しまして、家田先生もそして佐藤先生も、それぞれの御専門の立場でまさしく実際に調査に携わってこられた、調査をリードされてこられたというふうにもお聞きをいたしました。
 そして、まず家田先生にお聞きをいたしたいと思いますけれども、昨年三月、ちょうど一年になりましたけれども、例の日比谷線中目黒事故で、大変痛ましい事故でありました。まさしく首都圏の本当に重要な通勤手段であるわけでありまして、あそこでああいう形の事故が起きたということに、私なんかも本当に背筋の寒くなるような思いをいたしましたけれども、その事故調査に当たって、中間報告が四カ月、そしてまた最終報告七カ月といったことで出されたわけであります。あれだけの大きな事故で、そして先ほど、いろいろな専門分野にわたるありとあらゆる専門家をお集めになり、そしてそれを踏まえて調査を進められ、これだけの期間で調査書をつくられたということ、その御苦労なりいろいろなお話を先ほどお聞きをいたしたわけでありますけれども、それについて、今回の事故調査、特にこの中目黒事故は大きな事故でありますが、この事故調査に当たってどういうふうに、まあ先ほど御説明いただいたことに尽きるのかもしれませんけれども、その調査に当たって御苦労された点、特にこうした点がやはり苦労したんだ、また、こうした専門的な分野で関係者の努力が必要なんだということがあればお聞かせをいただきたいと思います。
 あわせまして、よくこういう大きな事故調査のときに課題になるんでありますけれども、実際に調査をされたことと、それをいかに国民なり関係者に伝えていくかという情報公開の問題、これも今後の事故の再発防止そしてまた関係者の関心も考えれば、この情報公開もやはり的確に行っていかなければいけないと思うんです。ただ、実際、急ぐ余り不確定なものを発表するということもできないと思いますし、そこら辺のタイミングと情報公開のやり方は非常に難しい課題だと思いますけれども、この点につきましてもあわせてお伺いできればと思います。

○家田参考人 お答えいたします。
 まず、第一点目の日比谷線の事故調査について特に苦労した点を申し上げますと、一つは、事故調査検討会は日比谷線が初めての経験ですし、常設の組織ではないので、検討会に参加した多くのメンバーが組織づくりとか作業のルーチンとか相互の技術的コミュニケーションに非常にふなれであったところでございます。そこを確立するために、極めて頻繁にミーティングを行ったり、非常に夜間にわたる議論をするというようなことが一つございました。
 それから、むしろ日比谷線の場合にはたまたま問題にならなかった、潜在的な苦労点というのを二つ挙げたいと思うんですが、一つは、東京で起こったために調査がしやすかったところでございます。もしこれが遠隔地で起こったら、ほとんどの調査のメンバーは東京在住でございますので非常に問題が生じた可能性があります。
 それから二点目は、日比谷線の場合、その内容が極めて技術的な側面が多くて、現場の職員の方々の作業ミスによるとか取り扱いミスによるという面がほとんどないわけでございます。そのため、そういう方々に対してこの事故調査検討会が直接事情を伺うというような権限を持っていなかったわけですが、それが余り問題にならなかったことでございます。むしろ鉄道事故というのは、ほとんどの場合に、先ほどの航空の話にもありましたが、取り扱いの問題が多いので、そういったところの権限がないと恐らく苦労することになると思います。
 それからもう一点は、先ほどもお話がございましたように、最終報告を出すまでに約七カ月かかっておるんですが、これは七カ月もかかったというお考えもあるかもしれませんが、むしろ、極めて技術的な事故だったので調査や測定や計算をすることによって七カ月で結論を出すことができたというふうに考えた方がいいと思います。ここにもし職員等の心理的な要素、乗務員の心理的な要素が入ったり、あるいはその他もろもろの制度的な要素が入ると調査期間というのはもう少し長くなる可能性もあるし、あるいは未知の技術的な要素が入るともっと長くなる可能性もございます。
 それからもう一つ、情報公開に関してお答えさせていただきます。
 情報公開は、事故調査の成否にもかかわる極めて重要なポイントだと私は思っています。幾つか理由がございますが、一つは、調査を通じて得られた知見を極力速やかに関係者に伝えるという意味での情報公開、この重要性であります。
 二点目は、調査作業が十分公正なものであるためには情報公開が欠かせないということでございます。事故調査は状況によっては政府の鉄道行政のあり方そのものに対しても何らか物を言っていく必要がありますから、そういったところが重要です。また、私自身は、迅速で効果的な事故調査のためには鉄道事業者やあるいは当該事故の関係者にも何らかの格好で調査に参加してもらうのがむしろ有効だと考えております。ただ、公正な調査を実現するためにはやはり適切な情報公開が必要と思われます。
 それから三つ目の理由は、国民や鉄道事業者あるいは事故の関係者に事故の要因などについて誤った憶測を与えるような事態はぜひ避けなきゃいけませんから、そういうためにもむしろ正確な情報を適切に公開することが必要だと思います。
 日比谷線事故の場合にも、事故調査検討会ではなるべく頻繁に、検討会の実施の都度なんですが、検討事項や得られた結果を文書にまとめましてプレス発表をしたり、あるいはでき上がったレポートをホームページに載せる等のことを努めてきた次第でございます。
 ただ、情報公開に当たりましては、やはり十分な注意が必要なことも事実です。特にこういった問題は安全にかかわる問題ですから、万が一誤報などを行ってかえって危険がもたらされるようなことがあっては大変なことでございますし、また、根拠に欠ける断片的な情報をもたらして事故の関係者に混乱を与えるというような事態も避けなければいけないと思います。こういった視点からしますと、情報公開すべき情報はやはり科学的な視点からきちんとチェックしたものでなければならないし、また情報化する窓口もきちんと一本化しておくという必要があろうかと思います。
 以上、お答えでございます。

○大村委員 ありがとうございました。
 続きまして、同じく鉄道の関係で、佐藤参考人にお聞きをしたいと思います。
 佐藤先生からも非常に、国鉄時代の御経験、そしてまたいろいろな事故調査の御経験もお話をいただきまして、鉄道事故調査の体制、そして調査の進め方、極めて詳細にお聞きをいたしたわけでございます。そして、特に最後のところでいろいろお感じになったことをお聞かせいただきまして大変印象に残りましたけれども、特に鉄道の事故は非常に多くの専門分野にわたるということで、事故調査委員会一つをとっても、もちろんそこで完結すること、そこがもちろん中心になって独立的にやるということが当然必要なわけでありますし、今回、当然この設置法で委員会の委員は「独立してその職権を行う。」ということにもなっておりますし、任命も国会同意ということでもございますし、この独立性は十分保たれておると私は思っておりますが、この独立性を生かして、あわせて、先ほど参考人が言われたように、関係者と、特にそういう技術スタッフをたくさん抱えている部局、国土交通省のそうした技術部局と十分連携をとってやっていくという御示唆、御意見を拝聴した次第でございます。
 そういったことも踏まえまして、どういう事故調査の体制が一番望ましいのか、あり得べき姿なのかということにつきましても、そしてそのことと当然関係するのでありますが、事故調査委員会をどういうふうに全体の関係者でサポートしていくか、支援していくかということも含めて、いま一度そのお考えをお聞かせいただければと思います。

○佐藤参考人 私、旧国鉄に奉職した当時のことから思い起こしまして、どのような調査体制がよいのかということを考えるわけでございますけれども、旧国鉄では本社の運転事故報告基準規程というものがございまして、これに基づきまして鉄道事故の調査がされて、報告されておりました。当時の重大事故には途中脱線事故が非常に多かったので、先ほどお話し申し上げたのもその例でございます。こういう場合ですと、鉄道管理局の運転部の保安課というのが中心になりまして実際やっていたわけでございますけれども、私、土木部門でございますから、保線課長とか保線区長とかあるいは保線支区長の現地の責任者、これが、十数名になったと思いますけれども、非常に多いメンバーでやはり実際の仕事をしなければならなかったというのが実態でございます。
 こういうことを考えますと、これから事故調査をする委員会ができましても、やはりその辺の支援体制、これは非常に大事なことであるだろうと思います。この支援体制を含めまして、家田参考人からもお話がありましたとおり、その対策を立てるためには非常にいろいろなことを考える必要がございますので、それにあわせて非常に多くの専門家が協力するという体制がやはり必要になろうかと思います。
 したがいまして、よく考えてみますと、鉄道の事故調査でございますけれども、まず初動調査をいち早く行って、事故現場の状況とか関係者の証言を記録して、原因究明に必要な車両や線路の部品を特定したり保存するということがまず必要になります。あとは、鉄道システムの特徴から考えますと、土木、車両、運転、電気の専門家、それから、それに加えましていろいろな専門家が検討していくということが必要であろうと思います。
 こういうことを考えますと、まず公平性とか中立性ということが前提になるわけでございますけれども、従来からいろいろな情報を持っていたりあるいは経験を持っているところが協力できる体制をまずつくるということから始めるのがよろしいのではないかというふうに思っているところであります。
 また、こういう事故調査委員会におきましては、高度の技術とあわせまして、いろいろな鉄道事故調査方法を考えたり、あるいは論理的な結論を取りまとめるということも必要になっておりますので、そのようなことを総合的に考えていく、そういう体制が必要ではないかというふうに思っているところであります。

○大村委員 ありがとうございました。
 それでは次に、航空関係に移りたいと存じます。
 大分時間が来てしまいましたので、もっとじっくりお聞きをしたかったのでありますが、航空事故調査委員会はもう長年の歴史もありますし、これまでにも重大な、いろいろな事故についても調査をし、その責任を果たしてきたと思っておりますが、今回、清水参考人そして川本参考人、お二人の先生にお越しをいただきました。まさしく現場でその日常の業務に携わっておられるお二人の先生方の御意見を拝聴いたしまして、大変貴重な御意見、傾聴に値する御意見だったと思っております。
 今回、この航空事故調査委員会に新たに重大インシデントも加えるということは、お二人の先生方が言われましたように、まさしくこれも当然一歩前進だと思っておりますし、こうした事故に至らないまでのものもあわせてしっかり調査をするということも大事なことだと思っております。
 そういう中で、今回、こういったことについての御意見と、そして、その航空現場の実際の業務に携わっておられる代表のお二人の先生方に、もう時間がありませんので申しわけありませんが、一言ずつ、不幸にしてこういった形の事故が発生した場合の、乗組員なり乗務員の方々とこういった事故調査との関係、どういったふうに関係していったらいいのか、どういうふうに協力していったらいいのかということについて、先ほどお話もお伺いいたしましたけれども、改めていま一度、重大インシデントを加えるという話と今申し上げたことについての御意見を、もう時間が余りありませんので一言ずつで恐縮でありますが、お聞かせいただければと思います。

○清水参考人 事故が発生した場合、現場の方の人間が思うことは、まさしく原因究明と再発防止というただその一点でございます。したがいまして、事故発生後の事故調査委員会の体制は先ほど言ったような体制を望みますし、体制を強化しないと早く調査も進まないし事故原因の追求もできない。加えて言えば、その事故調査のときに当たって、現場のノウハウを一番持っている航空会社の職員等についても、積極的にそういう現場の立場の方から関与させるべきだというふうに思っています。これは時々誤解があるかもしれませんけれども、航空事故を起こした当該会社に関しても、決して、その原因なんかについても秘匿するとかそういうことじゃございません。あくまでも原因追求ということですので、そこで持っているノウハウについては積極的に活用してもらいたいというのが現場の方の気持ちだというふうに思います。
 以上です。

○川本参考人 一言で申しますと、アネックス十三の規定にございますとおり、事故発生時とその当該人等の関係につきましては、事故調査をする目的が再発防止にあるということで、罪や罰を科するのが調査の目的ではないという、いわゆる調査の目的に沿った趣旨で事故調査を進めていただきたいというのが私の意見でございます。

○大村委員 ありがとうございました。
 それでは、きょうお聞かせいただきましたお話をしっかりまた法案審議に生かしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

○赤松委員長 次に、伴野豊君。

○伴野委員 民主党の伴野豊でございます。
 本日は、家田先生、清水先生、佐藤先生、川本先生、貴重なお時間の中、お出ましいただきまして、御意見を聴取させていただきましたことをまずもって御礼申し上げます。ありがとうございました。
 座って発言をさせていただきたいと思います。お許しください。
 安全は輸送業務の最大の使命である。これは多分、鉄道あるいは航空を初め輸送業界で働かれる方が職場に入られてまず先輩からたたき込まれる、そういう言葉ではないか、今も多分この精神は引き継がれているのではないかと思います。ですから、だれしも事故を起こしたくはない、あるいは事故が発生してほしくはないと思うわけでございますが、歴史的に見ましても、残念ながら一〇〇%なくなることはなかなか難しいのかな。
 そういった意味で、今社会情勢をかんがみたときに、高齢化、それから一つのシステムとして考えた場合に、いわゆる輸送システムと申しますのは総合技術産業システムであり、そこの中に複雑化、複合化してまいっている部分もある、技術的なレベルからすれば、ハイテクとローテクが混在する、また労働集約という面から考えれば、これはまさしく労働集約産業でございます。そういうような社会的な流れの中で、また国際的な観点からすれば、家田先生が論文の中でもお書きになっているような、いわゆる被害の回復の困難性というような場合も発生してまいります。これは命だけに限らず、システム自体を破壊する、あるいは社会に甚大な被害を及ぼすというようなことも今後考えられると思います。
 そういった観点の中で、私自身は、航空事故調査委員会をつくるならば、中途半端なものにしてはならない、世界に冠たるものであっていただきたい、そういう願いから、きょうもいろいろ先生方のお話を承っていたわけでございますが、二、三、ポイントをかいつまんでいろいろ質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、航空の方からお二人の先生方に御意見をいただきたいと思うのです。
 まず清水先生から、お話の中にもございましたが、事故調査委員会の位置づけというのは非常に大きなポイントではないか。いわゆるアメリカのNTSBは、私は一つの見本にしていいものではないか。そのスタッフの規模あるいは権限の与え方、アメリカも八年をかけて見直しをしたということでございます。その位置づけについてどういうお考えをお持ちであるか、いま一度お聞きしたい。
 それから、正確な情報を事故の現場から入手するという意味では、いわゆる事故調査と犯罪捜査、これが非常に難しい境界であるわけでございますが、ポイントは免責処分のあり方だと思います。この点についても御意見をお聞かせいただきたい。
 さらに、さきの航空の管制の問題、いわゆるニアミスにおける空域、管制の見直しのお話も出たんですけれども、それについて一元化が可能かどうか、そんなような観点。現在、民間と自衛隊と米軍、これとの兼ね合いがあろうかと思うんですが、そのあたりの御意見を清水参考人からお聞かせいただければありがたいと思います。

○清水参考人 三点、御質問いただきました。
 私、先ほど申し上げたんですけれども、日本型のNTSBを目指すべきだということについては、今伴野委員の方からございましたように、やはりアメリカの方も、ここについては随分内部でいろいろな確執があった中でここにたどり着いたというふうに聞いております。あくまでも、先ほど言いました独立性、権限の強化、それから体制強化、この三点なくして日本の航空を初めとする事故調査については前進がないというふうに思っています。
 とりわけ独立性のところについて申し上げれば、国土交通省の中に属する機関ということになりましたが、最終的に、調査をしていった中で、恐らく、今国土交通省の中に属しているということであれば、事故が発生したときの国土交通省の、例えば職員の動員のしやすさであるとか、あるいは、そもそもそういった事故については国土交通省が扱うんだということもあるかもしれませんが、いろいろな形で事故原因の解明が行われれば、間違いなく国土交通省というのが許認可を含めていろいろなことをやっているわけですので、そこに原因があるということを内部調査のような形にならざるを得ないことも発生するんじゃないかということを危惧いたしますので、この独立性についてはまず何をおいてもやるべきだと思います。
 加えて、体制の強化についても、先ほど申しましたとおり、やはり日本は、日本とアメリカ国民ではいろいろ違いがあるかもしれませんけれども、アメリカという、世界に冠たるNTSBという形で事故調査については絶対的な形での信頼を得ている機関があるわけですので、多少言い方は悪いんですけれども、恥ずかしがることなく、まねるところはきちんとまねた上で必要な措置等を行っていくべきだというふうに考えています。
 それから二点目の、事故調査原因と免責の件ですが、ここについては、先ほど申しましたとおり、あくまでも真実を語っていただかないと原因究明は進まないというふうに思っています。恐らくここは、国民の皆様からしても一番関心の高いところだと思います。そこの真実を語った上で、原因分析までいった上で、日本の事故調としても再発防止策を早く、建議等行わなければいけませんし、各国の航空局あるいはメーカー、運航会社に対して、一刻も早く勧告を出すべき責務があるというふうに思っていますので、早く真実を語ってもらうために免責制度、これについては刑事訴追の疑念を早く払拭した上で、そこを進めるべきだというふうに思っています。
 三点目の、空域、それから管制の一元化のところですが、管制については、先ほど言いました国土交通省、自衛隊、米軍、三つでやっていまして、それぞれ引き渡し等を行っておりますが、ここについては、国土交通省が全体を総合的に見ることによってそれぞれに情報を与えていく、それによって民間航空機の運航についての安全性については飛躍的に増大するというふうに思っています。それは空域というものとは違うけれども、管制の話になりますが、やれるというふうに思っています。
 以上です。


  1. 2008/02/03(日) 19:50:54|
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