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145-衆-日米防衛協力のための指…-川本参考人 平成11年04月07日

145-衆-日米防衛協力のための指…-川本参考人 平成11年04月07日

○川本参考人 
 私は、一番最初の紹介で簡単に触れていただきましたとおり、日本乗員組合連絡会議で議長を務めさせていただいております。私たちの団体は、私のこの後の意見の理解を得るためにごく簡単に説明させていただきますが、日本の民間航空で働く機長、副操縦士、航空機関士五千二百名、日本の民間航空のパイロットのほぼ九割以上を組織する団体でございます。
 私の前に、お三人の参考人の方が非常に高度な、政治的な問題について大所高所から意見を述べられていたようでございますが、私はそういうのは専門外でございまして、私の所属する団体の中の討論の経緯について、ぜひ皆様、国会の諸先生方に御理解いただきたい。なお、逆に、極めて諸先生方にとっても身近な問題ではないかと考えております。
 現在、このガイドラインの問題について、政治の最も大きな議題になっているわけでございますが、私ども民間航空に働く者にとっては極めて関心の高い事項であるし、また、このガイドラインと民間航空の関係について極めて強い危惧を持っているということで、時間の許す限り、三点ほど私の意見を述べさせていただきたいと思っております。
 まず第一点目でございますが、私たち、常日ごろ、ごく普通の感覚で、どこの国へでも民間の旅客機に乗って出張なり観光なりに行っているわけですが、国家という枠組みの中でそれが余りにも日常的に行われているのでどなたも不思議には思わないんですが、これは極めて重要な枠組みの中で行われているというふうに考えていただきたいと思っております。その枠組みというのは、国連の範囲の中の国際民間航空機構、その機構を維持する国際民間航空条約、一般的にはシカゴ条約と言われておりますが、その国際民間航空条約並びにICAOという民間航空機構が機能しているから、そういう利便性を日常的に我々は利用してその利益を享受している。このガイドラインが発動されるような事態に立ち至った場合には、その枠組みに対して極めて私どもは心配をしております。
 この条約、シカゴ条約の前文には、お手元に三部ほど資料がございますが、全部読む時間はございませんが、まず、国際民間航空の将来の発達は、各国の友好と理解を創造し、以下云々と。それで、国際民間航空の乱用は、一般的安全に対する脅威となることがあるので、また、摩擦を避け、協力を促進することが望ましい、そういう目的のために各国政府はこの条約を締結するんだというふうに書かれております。これがいわゆるシカゴ条約の精神であると私たちは考えておりますし、全体を通じて流れている考え方と。
 その第三条には、民間航空機とは何なのか、国の航空機とは何なのか。国の航空機とは、これは当然でございますが、軍、警察、税関等の飛行機。したがって、この国際民間航空条約の権利なり責任なり保護なりを受けられるのは民間航空機に限るんだということが、この条約の中ではっきりとうたわれております。したがって、国の航空機というのは、この国際的な民間航空のシステムの中では保護を受けられないということになります。
 第四条は、各締約国は、この条約と両立しない目的のため民間航空を使用しないことに同意する、そういうふうにもうたっております。なお、日本国の航空法では、第一条、その目的の中で、民間航空条約の精神にのっとってこの法律を制定するというふうになっているわけでございます。
 したがいまして、ガイドラインが発動されるような事態に万が一立ち至った場合には、それらの前提がすべて崩れてしまい、私たち直接その場に働く者にとっては、極めて大きな危惧を抱かざるを得ないというふうに考えております。
 それから、第二点目でございますが、周辺事態法の中で、いわゆる日本が行う米軍に対する支援について規定がございます。先生方も当然御存じの第三条関連、それから第九条関連でございますが、私たち民間航空の場に働く者もこれとは無縁ではないというよりも、極めて密接に関連している。第九条第二項では、「国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。」というふうにされております。この委員会の中のやりとり等を私たちは新聞やテレビ、雑誌等を通じて非常に注意深く見守っておりますが、これはあくまでも依頼であって強制ではないんだというふうに一般にはとらえられているようでございますが、果たして現実はそのような言葉どおりに動くのかという危惧が非常に強いわけでございます。
 いわゆる、国から企業に対して依頼という形で要請が行く。企業は、許認可権が非常に多い航空の中では、国に対してそれをお断りするというのはかなり至難のわざではないかなというふうに考えております。具体的には、ある航空会社の団体交渉の中では社長が、それはこたえるんだ、国の要請にはこたえるというふうに明言をされております。
 そういうような中で、従業員にとって、会社からの業務命令に逆らうことは極めて難しい。それは私たちが生活をかけて拒否をするのか、やむを得ず参加するのかという二者択一を迫られる場合が極めて具体的にあらわれてくるのではないかという危惧を私どもは持っております。
 なおかつ、その協力の中身については、法律の中では、自衛隊の行う協力については別表で表示されているようでございますが、民間の協力については明文がないといいますか……。
 それで、私たちとして考えられる民間の航空関係の協力というのは幾つかあるのですが、代表的なものを挙げさせていただければ、まず米軍による空港の使用、それから、その空港での人員や物資の積みおろし、保管及びその場所の提供、それから、私たち民間航空機による人員なり物資の輸送、これは九七年、日本のある航空会社はアメリカの海兵隊の人間を沖縄から横田に実際に運んでおります。これについては、私ども民間航空の中では非常に大きな問題になって、団体交渉等を通じて会社に中止を依頼し、帰りの便については会社が中止したという経緯もございます。それから、航空機の整備、燃料等の補給、傷病者の輸送等々たくさんあります。それから付随的に、これらを円滑に遂行するために、航空管制や空域の優先的な使用も当然発生してくるのではないかと考えております。
 こういう事態に立ち至った場合に、果たして民間航空にとってどういう影響があるのだろうか。
 今の日本の経済活動の中で、民間航空抜きには考えられない、人の流れの大動脈の一つを私たちは担っているという自負がございます。そういうような影響の中では、民間航空の流れが極めて制限を受ける、場合によっては異常接近なり空中衝突なりの危険性が非常に多くなるのではないかと考えております。現在でも、私どもは、日本の何カ所かでは軍用機と民間機の異常接近が日常茶飯事的に発生しておりまして、それらについて、昨年は運輸省なり米軍にお話をさせていただいた経緯もございます。
 また、日本国内にとどまらず、日本からヨーロッパ、朝鮮半島、中国、アジアは、日本海周辺空域を飛行しなければ飛べないわけでございますが、万が一その周辺の空域なり海域が紛争事態になった場合には、民間航空の安全は根底から覆ってしまうのではないかと考えております。一機の飛行機に乗り込んでいる乗客、乗員は、これは下世話な言葉で言えば一蓮託生でございます。どんな高官でもまたはそうじゃない人でも、運命共同体というふうに私どもは考えております。したがって、私たち民間航空に働く機長の責務は、まず第一に最優先させるのが、御搭乗していただいている乗客の皆様の生命の安全を確保することが私たちの第一義の任務だと考えております。
 なお、それに付随して発生する問題として、万が一紛争が発生した場合に、私たちにとって最も脅威となるのがテロでございます。これは具体例が何件もございます。一つ一つ説明するにはもう余り時間がございませんが、このテロを防ぐのは、相手の意思がかたければほとんど不可能と言っていいと思います。なぜかと申しますと、日本の民間航空機、これはアフリカの一部を除いて毎日世界各国を飛び回っております。日本の中で幾らセキュリティーを厳重にしても防ぐことはできません。これは、私どもは断言をする自信がございます。
 具体例といたしまして、一九八七年、北朝鮮が大韓航空機に爆薬を仕掛けて、アンダマン海上空で、乗客二百名程度だったですか、ちょっと今数字は覚えておりませんが、お亡くなりになっておりますが、これはソウル・オリンピックを妨害するための工作であったというふうに事故調査報告では述べられております。
 あともう一件。その翌年でございますが、一九八八年、イギリスのスコットランド上空でパンナム機が爆破されております。パンナムは当時経済的に困難であったんですが、この事件を契機に、一挙に会社の消滅という道に走ってしまったというふうにも言われておりますが、当初、この事件は、その飛行機に米国の高官が乗っていらしたんですが、それをねらったのではないかというふうに言われていたんですが、後々の事故調査によりまして明らかになったのは、米軍のトリポリ爆撃に対するリビアの報復テロであったというふうに言われております。このときの犯人は、十年たっても引き渡しを受けませんでしたが、つい二日か三日前、オランダに引き渡されたということでございますが、万が一リビアの国家テロだということならば、引き渡された犯人がいてもこの事件の真相が解明されるようなことはないのではないかと私は危惧いたしております。
 最後でございますが、そういう紛争当事国にならなくても、イラン・イラク戦争のときに、ホルムズ海峡で米軍の誤射によってイランの航空機が撃墜されてしまいました。そのときに十六名の乗組員を含む二百九十名の乗客の方は全員お亡くなりになったというような苦い苦い教訓、悲劇がたくさんございます。
 私どもは、そういう観点から、大所高所の論理ではないかもしれませんが、民間航空に働く現場の人間といたしまして、ガイドラインの法案については大変危惧をいたしております。
 先生方のお手元に、三部つづりの資料がございますが、一番最後に「ガイドラインに対する航空労働者の見解」という私どものアピールがございますが、ぜひ後ほど御一読いただきたいと考えております。
 大変ありがとうございました。(拍手)

○佐々木(陸)委員 最初に川本参考人にお聞きをしたいと思います。
 この法案が通ったりいたしますと、民間航空が、周辺事態に際して、武器弾薬の輸送や兵員の輸送等々にかなり大規模に動員される可能性があると思います。そしてまた、民間空港がそういう軍の用に供せられるようなことも起こり得ると考えるのですが、先ほど資料としてお配りいただきました、航空法や国際民間航空条約に照らしてそういう事態がどういう意味を持つのか、そしてまたそれが国民にとってどういう影響を持つのかということを、先ほどもお話しいただいたのですが、もうちょっと、本人の主観を交えてでも結構ですので、詳しくお話しを願いたいと思います。

○川本参考人 まず、国際民間航空条約との関係で申しますと、先ほども簡単にお話しさせていただきましたが、国際民間航空条約、これは名前のとおり民間航空機にのみ適用される条約でございます。したがいまして、例えば民間航空機が政府機関との契約によって業務を行う場合に、果たしてそれが民間航空機と認定されるのか国の航空機と認定されるのかという問題がございます。国の航空機はこの条約では適用外でございますから、いわゆる民間航空条約の保護を受けられないということになります。一部の議論として、国と契約しても国の航空機ではないという意見もあるのは承知いたしておりますが、相手がそういう論理に立つかどうかというのは別の問題ではないかと考えております。
 なおかつ、民間航空条約の中で、いろいろな規定がございますが、日本は理事会のメンバーでございます。これは第五十条にございますが、それぞれ世界の主要な国の中から選ぶようでございます。詳しくは今御説明する時間がございませんが、日本は、航空にとって最も重要な国の中から選ばれて、いわゆる理事国と申しますか、なっております。したがいまして、民間航空条約の精神並びに規則の実施については最大限遵守する義務が当然あるだろうというふうに考えております。
 なお、先ほどサンフランシスコ条約について、西村先生でございますか、お触れになりましたが、民間航空条約に参加するに当たり、日本は大変な努力を行っております。これは一九四四年にシカゴで航空会議が行われましたのでシカゴ条約と呼ばれておりますが、日本がサンフランシスコ平和条約を結びまして、その中の、ちょっと今条文を覚えておりませんが、十三条だったと思いますが、民間航空条約に参加するまでその規則に従いなさい、それで条約締結後六カ月以内に申請をしろ、それでその申請を受理するかどうかは、これはいわゆる枢軸国側としての扱いを受けますので、国連総会それからICAOの絶対多数、それぞれたしか三分の二、五分の四だったと思いますが、そういう厳しい審査を受けて条約に加盟しているという歴史的事実も踏まえて、極めて誠実に履行義務があると考えております。
 第二点目の、国民生活につきましては、これは具体的な問題といたしまして先日の朝日新聞でも非常に大きく報道されておりましたとおり、運輸省が悩んでいるというような報道がございました。例えば、国の管理する飛行場については国の命令で米軍が使用できるのでしょうが、第三セクターといいますか成田なり関西空港なりは、それぞれ極めて大きな制約をはめて開港いたしておりますが、しかし、今まで言ったことと違う事態になりかねない、運輸大臣の命令で使用ができるというふうに省内での意見統一がなされたというような新聞報道が、朝日新聞の報道でございますが、ありました。
 そういうような問題だとか、それから、日本の地図を頭に浮かべていただければいいと思うのですが、東京から北にはいわゆる縦、ところが、紛争が発生するのは海の上でございますから右左に飛ぶわけですね。それで、東京から西の方になりますと、民間航空機は原則的に右左に飛ぶわけですが、海があるのは、紛争地帯があるのは大体上の方かな、北側でございます。ですから民間航空の流れと極めてふくそうする形で、私たちの航行の安全にとっても極めて重大な脅威があるし、それから空港の使用なり、優先管制なりなんなりで、経済活動においても極めて重大な影響があるというふうに考えております。
 以上でございます。

○佐々木(陸)委員 先ほど配っていただきました資料の最後に、「民間航空機による米軍兵士の輸送など軍事目的への協力は絶対に認められない」という、これは九七年の七月の乗員組合連絡会議の声明ですか見解が付せられておりますが、乗員組合連絡会議も参加した陸海空、港湾、交通、運輸関係労働組合が最近アピールを発表しているんではないかと思いますが、よろしければその内容などをちょっと御紹介いただきたいと思います。

○川本参考人 アピールそのものは、大変長くなりますので、A4の紙二枚でございますのでこれを読み上げるには相当な時間が要るので、要旨だけを説明させていただきます。
 今御指摘のありましたアピールについては、本年三月十九日、陸上、海上、航空の交通、運輸関係並びに港湾関係労働組合の共同アピールでございまして、「「ガイドライン」関連法案の廃案を求めます。」というアピールです。中には、いわゆる自動的に戦争に巻き込まれる問題、それから、先ほどもございましたが、後方地域支援の問題、これが果たして安全なのかどうか、それから日本国の憲法なり国際法に違反しているのではないか、それから経済活動等、国民生活にはかり知れない影響を与える、五番目といたしまして、自治体や民間への協力の依頼というのは、条文ではそうなっておりましても、私たち、いわゆる企業内で働く人間にとっては、これは実質強制に近いのではないか等々についての意見のアピールという形でまとめております。
 以上でございます。

○佐々木(陸)委員 ありがとうございました。
 冒頭の御発言ですと、航空機の、川本参考人が議長を務めていらっしゃるところが大体五千二百人、労働者の大部分を代表していらっしゃるということでしたが、このアピールは何人くらいの労働者を代表していらっしゃるんでしょうか。
 最後に一言だけそれをお聞きしたいと思います。

○川本参考人 大変申しわけございませんが、実数については持っておりません。私どもが少なくとも五千二百名、私どもはパイロットの団体でございます、私も現役の機長でございますが、それを含みまして、管制官、それから整備、地上のいろいろな航空関係の方等々を含めまして二万三千人を擁する航空安全会議というのがございますが、それを含んで、あと海員組合等々、実態については相当な数に上ると思いますが、まことに申しわけございませんが、準備不足で、数字については持ち合わせておりません。
 以上でございます。
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  1. 2008/02/03(日) 19:52:21|
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